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» 2020年07月01日 10時00分 公開

BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(6):【第6回】「迷走する設備BIMの後れを取り戻せ!」(前編) (1/3)

日本での設備BIMがなかなか進んでゆかない。これは大和ハウス工業も例外ではない。しかし、日本の設備業務は、意匠・構造とは異なる“特殊性”があり、これがBIMに移行しにくい原因とされている。しかし、BIMに移行するためには、設備のBIM化を避けて通ることはできない。どう乗り越えてゆくかが重要な鍵になる。そこで、設備BIMが置かれている現状の課題を分析した上で、設備BIMのあるべき姿を示し、設備がBIMに移行するために何をしなければならないかを、同社技術本部 建設デジタル推進部 次長・伊藤久晴氏が前後編の2回にわたり詳説する。

[伊藤久晴(大和ハウス工業 技術本部 建設デジタル推進部 次長),BUILT]

設備BIMの現状

 国土交通省が2020年の3月に策定した「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」本文(以下、BIMガイドライン)の5頁に記載されている(BIM活用の現状 プロセスごとに個別に活用されるBIM)で、設計部門のBIMの活用について下記のように明記されている。

 「設計分野においてBIMの活用は限定的であるが、導入に興味を持つ建築士事務所(建築)は相当程度存在。しかし、とくに設備系設計事務所におけるBIMの活用はかなり限定的で、導入実績や導入に興味を持つ事務所は少ない状況」(調査実施時期:2017年12月〜2018年2月)。

個別の活用に止まっているBIMの活用 出典:国土交通省BIMガイドライン第1版

 BIMガイドラインによれば、設備設計でのBIMの活用は進んでおらず、取り組もうとしている建築士事務所も少ないという調査結果である。設備BIMが進まなければ、いくら意匠・構造BIMが普及しても、本来のBIMのメリットを得るには至らない。

プロセス横断的な活用が進んでいないBIM 出典:国土交通省BIMガイドライン第1版

 また、上図のように、施工段階でサブコンのBIM活用は少なく、維持管理でもBIMの活用は低調である。

 維持管理BIMでは、設備のBIMデータの連携が必須となるため、設備BIMが進まなければ、維持管理BIMも始まらない。なぜなら、維持管理において、修繕・保守の対象の多くは設備機器だからだ。

 大和ハウス工業でも、早くから設備BIMに取り組んできたが、意匠・構造との遅れが目立ってきている。2019年下期の成果は、意匠・構造が全体のうち50%のBIM化率に対し、設備は30%。だが、当社の設備BIMは、意匠・構造とは異なり、設備CADの2次元機能で設計を行った後にモデル化を行う「後追いのモデル作成」である。このまま、設備部門のBIM化が遅れれば、全体のBIM移行計画に支障が出ると危惧している。

設備業務はBIMに向いていない

 設備は、電気と機械(給排水・空調換気設備)に分かれ、互いに専門分野が異なる。施工段階のサブコンも、電気と機械で別々の場合が多い。主な図面は、平面図、系統図、機器リストであり、系統図というものが意匠・構造とは異なる考え方の図面となる。下記は、設計段階の設備図の例である。

給水設備平面図と排水設備平面図
給排水設備の系統図と空調設備の機器リスト
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