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» 2019年07月03日 08時11分 公開

「産業×ドローンセミナー」(上):“有人地帯での目視外飛行”に向け国が年度内に方針策定、秋には飛行前点検が義務化 (4/4)

[石原忍,BUILT]
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ドローンが困難な箇所は人の手で点検、組み合わせた手法で安全性向上に

日本インシーク・木下渉氏

 その後、東京都から受託してドローンによる橋梁(きょうりょう)点検の実証実験を行った日本インシークの東京本社 調査診断部部長・木下渉氏が、調査結果を報告した。

 調査は、市販モデルのドローンがインフラ点検での“活用可能性”を検証する目的で実施。水管橋2橋と道路橋2橋を対象に、画像分析や赤外線サーモグラフィ―、コンクリート打音の効果をテストした。使用した機体はDJIの「Matrice 600 Pro」と、赤外線カメラを搭載した「Matrice 210 RTK」。

 写真による点検では、連続撮影した画像から特徴となる点を抽出し、点群からTINを生成して3次元モデルを作成する手法でSfM(Structure from Motion)ソフトによる3次元形状を復元した。

SfMによる3次元形状復元

 木下氏によると、「水管橋は、従来方法と比べ、点検結果に相違は見られず、HIT率は100%だった。死角が少なくあらゆる角度から撮影できたため、同等の成果が得られた」とした一方で、鋼橋は「部材が多く複雑で、ドローンが床版付近や桁と桁の間に進入できず、フランジの上部分など確認できない部材が多かった。結果、HIT率は40%で、支承など確認不可なものは当然ながら0%となった」と課題を指摘した。

 また、赤外線サーモグラフィは日中の温度差から周囲と状態の異なる特異点を抽出する手法だが、1回だけの検査にとどまったため、精度が足りず損傷を見つけ出すには至らなかったという。

水管橋の点検比較
道路橋の点検比較
道路橋での点検可能箇所

 人工数で考えると、「水管橋の点検は通常13人工程度で、ドローンでは現状17〜18人工かかってしまい、写真を3次元化する過程やひび割れの抽出作業で時間を費やしてしまっている。しかし、AIによるひび割れ自動検知の発展が進んでおり、将来的には同程度までは省人化される見込みだ」(木下氏)。

 今後、ドローン点検が一般的になれば、全景をドローンで撮影し、機体が近づけない箇所を人がカバーするという両者を使い分けすることで、これまでよりも安全性の向上や作業時間短縮が見込める。

 木下氏は、「現在は、時間に加え、価格についても、人の手でなら50万程度に対し、ドローンの機体であればおよそ100万円と、従来点検よりも割高だが、SfMの精度向上やトータルステーションを用いた自動飛行、機体の防水仕様など、これからの技術革新によって、低価格化や点検品質が上がる。その先には、操縦者の目視外点検をはじめ、5.8GHz(ヘルツ)帯の電波利用、主桁端部や橋台パラペットといった狭隘(きょうあい)な場所への対応、コンクリート片が落下する懸念のある打音調査など、検証にまだ時間を要する新技術にも期待したい」とまとめた。

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