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» 2019年07月03日 08時11分 公開

「産業×ドローンセミナー」(上):“有人地帯での目視外飛行”に向け国が年度内に方針策定、秋には飛行前点検が義務化 (3/4)

[石原忍,BUILT]

「空飛ぶスマホでなく、空飛ぶロボットの性能を」

経済産業省 ロボット政策室 国際調整係長・荒幡雅司氏

 経済産業省からは、製造産業局 産業機械課 ロボット政策室 国際調整係長・荒幡雅司氏が、「空の産業革命に向けた政策の動向」と題し、講演した。

 現在、ドローン市場では、農業、測量、検査、空撮などのさまざまな分野での活用が広がり、生産性を向上させている。2020年代前半に有人地帯での目視外飛行を実現するため、技術開発や環境整備を推し進めている。これからドローンサービスを広げていくには、「目視外飛行」がカギで、可能になれば、物流、山奥の送電線点検、長大なインフラ維持管理、警備の分野にも拡大し、市場自体も、機体の販売などよりもサービスの方が伸びると予測している。

 荒幡氏は、「これからドローンの飛行レベルで目指すのは、レベル4の目視外飛行(BVLOS)で、東京も含めた大都市圏でのドローンサービスが実現する。現状の目視内飛行は、いわゆる空飛ぶスマホのようなもので、スマホの製造拠点でもある深センで製造された機体が多く出回っている。しかし、目視外飛行となると、これまで必要とされたスペックではなく、数時間程度の飛行時間、過酷な環境下への対応、衝突回避システムの搭載、運航管理システムの利用など、スマホでなくロボット(UAS/産業用無人航空機)クラスの性能が求められる」と説明した。

ドローンの飛行レベル
ドローンの目視外飛行で本格化する「空の産業革命」

 飛行するドローンの数も、これまでの比ではない台数が混在してフライトをすることが想定され、運航管理システム(UTMS)の開発は急務とされている。

 UTMSの研究開発は、2017年度より3年間のプロジェクトとしてスタートしている。JAXAを筆頭に、NICT、AIST、NIIが全体設計を行い、物流や警備などの用途ごとに適した運航管理システムを楽天、NTTドコモ、KDDI、スカパーJSAT、日立製作所などの民間企業らが各機能を分担して開発。ゼンリンや日本気象協会から地図や気象の提供を受け、福島ロボットテストフィールド(福島RTF)で実験を行い、2022年までの社会実装を目標としている。

ドローン運行管理システムの研究開発

 福島RTFでは2019年2月25〜3月1日、10機のドローンが同一空域を約15分間にわたって試験飛行した。複数ドローンの飛行計画やリアルタイムでのドローン位置情報の管理を人の手を介さず、自動で行ったという。福島RTFは、50ヘクタールのロボット・ドローンの実験場として2016年度から南相馬市と浪江町で整備を始め、2018年度より順次開所している。

ドローン特区の活用とインフラ点検への可能性を検証

東京都 先端事業推進担当課長・前林一則氏

 東京都での取り組みについては、東京都 戦略政策情報推進本部 戦略事業部 先端事業推進担当課長・前林一則氏が紹介した。都は、産業用ドローンを先端技術と捉え、戦略政策情報推進本部では、東京の成長を見据え、レベル3の段階でさまざまな施策を進めている。

 2017〜2018年度にはドローン特区を活用し、多摩地域の奥多摩町/檜原村でルーチェサーチと共同して、あきる野市ではスカイシーカー/DJI JAPANと組んで、それぞれ実証実験を行った。ドローンと電波とは密接な関係があるため、多摩地域での実証では、土砂災害が発生した想定で、高いヘルツ帯の実験を行い、空撮画像のリアルタイム伝送や3Dレーザー計測を試した。また、災害時の緊急支援物資の搬送や投下もテストした。

 さらに2018年度には、インフラ点検分野でも、日本インシークと協力して、実現可能性を調査した。全国的にインフラ老朽化が進む中、点検作業員の不足が深刻化し、高所では危険を伴うこともあり、ドローンが人の点検の代替になるかを検証。実験結果について、前林氏は「ドローンが物理的に入れない構造物の形状や立地の条件があることから、すぐ人に代わるものではないが、技術革新や点検制度の整備などがクリアになれば、ドローン点検の実用化には期待が持てる」と評価した。

多摩エリアでの実証実験

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