シールド工事の掘進管理測量を無人化、4足歩行ロボがプリズム自動設置ロボット

西松建設と奥村組は、シールド工事の掘進管理測量で、四足歩行ロボットを活用して既知点へのプリズム据付作業を自動化するシールド坑内測量システムを共同開発した。

» 2026年06月19日 11時00分 公開
[BUILT]

 奥村組と西松建設は2026年6月12日、シールド工事の掘進管理測量向けに、既知点へのプリズム据付作業を人から四足歩行ロボットに置き換えて自動化する測量システム「わんワン測量」を共同開発したと発表した。

 西松建設の自動測量対応トータルステーションを活用した「遠隔測量システム」と組み合わせることで、掘進管理測量の完全無人化が可能になる。

「わんワン測量」全体イメージ図 「わんワン測量」全体イメージ図 出典:西松建設プレスリリース

 シールド工事で掘進作業終了後に行う坑内測量は、従来作業員が坑内に入り手作業で行っていた。長距離の移動を伴うため作業時間が長く、小口径シールドトンネル工事では狭あいな坑内空間での作業が身体的負担となっていた。自動測量機(自動追尾TS)を導入する場合も、別の既知点へプリズムを移設する際は人による作業が必要になる。

「わんワン測量」のシステム概要 「わんワン測量」のシステム概要 出典:西松建設プレスリリース

 新システムは、坑内を自律的に移動する四足歩行ロボットとロボットアームを活用し、掘進管理の坑内測量において、既知点へのプリズム据付作業を無人化する。

 四足歩行ロボットは、トンネルの線形や軌条設備に依存せず、足場上を柔軟に移動。ロボット上部には3D-LiDARセンサーを搭載し、取得した点群データと、事前に設定した座標点情報を参照することで、既知点までの移動を自動制御する。遠隔操作による自動発進や帰還機能を備え、測量作業の合間に手動でロボットの配置や退避をする必要がない。

(左)4足歩行ロボット、(右)3次元測量結果のリアルタイム解析状況 4足歩行ロボット(左)、3次元測量結果のリアルタイム解析状況(右) 出典:西松建設プレスリリース

 既知点へ到着すると、重心を低くした安定姿勢を維持しながら、ロボットアームを展開。ロボットアーム先端のカメラで撮影した画像を基に、AIによりロボットアームを最適に調整し、既知点の鉛直上にプリズムを据え付ける。

 測量終了後は自動充電ステーション(接触型充電方式)に自動帰還して充電を行う。ステーション付近にロボットが乗り越えるには困難となる段差がある場合はスロープの設置が必要となる。

ロボットアーム ロボットアーム 出典:西松建設プレスリリース
(左)充電ステーションから既知点までの移動、(右)待機/充電状態 待機/充電状態(左)、充電ステーションから既知点までの移動(右) 出典:西松建設プレスリリース

 奥村組と西松建設は新システムの有効性を検証するため、奥村組技術研究所内に設置した実際のセグメントを用いた模擬トンネルと、施工中のシールドトンネル工事現場で、ロボットの歩行能力と測量精度の実証試験を実施。

 軌間に敷設した幅約480ミリの足場板上で自律移動が可能で、曲線半径35メートルの急曲線区間でも安定した歩行が可能だと確認した。プリズム据付精度については、2点間距離計測時の較差(測定値の差)が2ミリ程度だった。

模擬トンネル内部(左)、足場板上歩行状況(施工中現場)(右) 模擬トンネル内部(左)、足場板上歩行状況(施工中現場)(右) 出典:西松建設プレスリリース
プリズム据付状況(施工中現場)(左)、既知点認識システムUI(右) プリズム据付状況(施工中現場)(左)、既知点認識システムUI(右) 出典:西松建設プレスリリース

 今後は新システムの精度向上を図るとともに、遠隔測量システムと連携し、トータルステーションの自動視準からプリズム設置、既知点測量までの一連の測量作業を自動化し、無人化や作業効率の向上を進める。GNSS(全地球航法衛星システム)などの測位技術との連携により、トンネル工事以外の多様な建設工種における測量作業への応用発展を図る。

 将来は測量以外の用途への展開も視野に入れ、センサー技術とAIを融合したフィジカルAI技術の高度化を目指す。

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