昇降機トップメーカーが技術の裏側公開 日本オーチスが「大人の社会科見学」開催次世代のスマートビル(1/2 ページ)

エレベーターの世界最大シェアを誇るオーチス・エレベータの日本法人「日本オーチス・エレベータ」は、成田空港からほど近い中核拠点で、インフルエンサーやメディアを招き、「大人の社会科見学」を開催。最新機種「Gen3」のIoT技術や熟練エンジニアによるセル生産方式など、エレベーターの安全を支える裏側を公開した。

» 2026年07月29日 20時37分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 オーチス・エレベータは、創業から170年を超えるエレベーター/エスカレーターの老舗メーカー。ケーブルが切れても落下しないエレベーター用の「安全装置」を世界で初めて実用化した会社として知られ、世界シェアトップの位置にある。古くは1896年にエレベーターを日本銀行本店に納入するなど、日本での歴史も長きにわたる。

 日本法人の日本オーチス・エレベータ(以下、日本オーチス)は2026年6月19日、千葉県山武郡芝山町の「日本オーチス・ロジスティクス&エンジニアリング・センター(通称:NOLEC、ノレック)」で、インフルエンサーやメディアを招いた「大人の社会科見学」を開催した。

NOLECの象徴にもなっている地下27メートル/地上154メートルの「テストタワー」。成田空港に近い場所のため、航空法の規定に準じ、154メートルに制限されたという。開発段階の製品に対し、安全性や乗り心地、信頼性に関する厳しい試験を重ねる。複数の試験を同時に実施できるように、11本の昇降路(エレベーターシャフト)を設けている NOLECの象徴にもなっている地下27メートル/地上154メートルの「テストタワー」。成田空港に近い場所のため、航空法の規定に準じ、154メートルに制限されたという。開発段階の製品に対し、安全性や乗り心地、信頼性に関する厳しい試験を重ねる。複数の試験を同時に実施できるように、11本の昇降路(エレベーターシャフト)を設けている

 日本オーチスは、これまでも製品やサービスの導入を検討する企業をはじめ、入社志望の学生などを対象に、自社の取り組みや施設を紹介する単発的なイベントを催してきた。今回初となる大人の社会科見学は、その活動をベースに、オーチス・エレベータへの理解をさらに深めてもらうことを目的に企画したという。

 当日は、日本オーチスの概要説明に続く、メンテナンス作業の見学を含む施設ツアーで館内を巡った。

優れた基本性能とデジタル技術が融合した最新モデル「GEN3」

 世界シェアトップを誇るリーディングカンパニーが、あえて「裏側」を限定公開した理由について代表取締役社長のパトリック・ヨング(Patrick Yeung)氏は、「エレベーターは身近すぎるがゆえに、仕組みや支える人の存在を意識する機会は多くない。しかし、ボタンを押すだけで動く、その『当たり前』を支えている技術や現場の努力こそが私たちの仕事の本質だ」と強調した。

日本オーチス・エレベータ 代表取締役社長 パトリック・ヨング氏 日本オーチス・エレベータ 代表取締役社長 パトリック・ヨング氏 写真は全て筆者撮影

 NOLECは、敷地面積約8万平方メートル、約600人が働く日本オーチスの中核拠点で、設計、製造、物流、トレーニング、コールセンターの機能を集約している。

 今、日本オーチスが最も注力しているのが、最新モデル「Gen3(ジェンスリー)」エレベーターだ。プロダクトマーケティング部 部長の小谷剛氏は、「Gen3はIoTを標準搭載し、常時インターネットに接続している第3世代の製品だ」と紹介した。

 従来のワイヤロープに代わり、耐久性に優れた「フラットベルト」を採用。また、最先端のIoTデジタルプラットフォーム「Otis ONE(オーチス ワン)」との連携により、エレベーターの状態を24時間365日リアルタイムで監視し、異常の兆候を事前に察知する「予測保全(予知保全)」を実現している。

「GEN3」モデルに採用した「フラットベルト」を手に説明するプロダクトマーケティング部 部長 小谷剛氏 「GEN3」モデルに採用した「フラットベルト」を手に説明するプロダクトマーケティング部 部長 小谷剛氏
「GEN3」エレベーターに採用している「フラットベルト」。耐久性、省エネ性、静音性などに優れている。ベルトに微量の電流を流し、異常を感知するシステムを導入している 「GEN3」エレベーターに採用している「フラットベルト」。耐久性、省エネ性、静音性などに優れている。ベルトに微量の電流を流し、異常を感知するシステムを導入している

 昨今のビルでは、警備や清掃などに自走式ロボットを導入するケースが増えている。見学会でも、クラウドを介してロボットが自らエレベーターを呼び出し、フロア間を移動する「ロボット連携」を実演した。サービス・MODエンジニアリング IoT Japan・部長の宮島弘光氏は、「以前は物理的な配線が必要で大掛かりな工事を伴ったが、今は小さなインタフェースを設置するだけのため、半日もあれば導入できる」とロボティクス技術の進化を語った。

エンジニアリング本部 サービス・MODエンジニアリング IoT Japan・部長 宮島弘光氏 エンジニアリング本部 サービス・MODエンジニアリング IoT Japan・部長 宮島弘光氏
自走式ロボットがエレベーターを呼び出すデモ。説明会場では、エレベーターの稼働状況をガラス越しに見られるようになっていた
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