エレベーターの世界最大シェアを誇るオーチス・エレベータの日本法人「日本オーチス・エレベータ」は、成田空港からほど近い中核拠点で、インフルエンサーやメディアを招き、「大人の社会科見学」を開催。最新機種「Gen3」のIoT技術や熟練エンジニアによるセル生産方式など、エレベーターの安全を支える裏側を公開した。
オーチス・エレベータは、創業から170年を超えるエレベーター/エスカレーターの老舗メーカー。ケーブルが切れても落下しないエレベーター用の「安全装置」を世界で初めて実用化した会社として知られ、世界シェアトップの位置にある。古くは1896年にエレベーターを日本銀行本店に納入するなど、日本での歴史も長きにわたる。
日本法人の日本オーチス・エレベータ(以下、日本オーチス)は2026年6月19日、千葉県山武郡芝山町の「日本オーチス・ロジスティクス&エンジニアリング・センター(通称:NOLEC、ノレック)」で、インフルエンサーやメディアを招いた「大人の社会科見学」を開催した。
NOLECの象徴にもなっている地下27メートル/地上154メートルの「テストタワー」。成田空港に近い場所のため、航空法の規定に準じ、154メートルに制限されたという。開発段階の製品に対し、安全性や乗り心地、信頼性に関する厳しい試験を重ねる。複数の試験を同時に実施できるように、11本の昇降路(エレベーターシャフト)を設けている日本オーチスは、これまでも製品やサービスの導入を検討する企業をはじめ、入社志望の学生などを対象に、自社の取り組みや施設を紹介する単発的なイベントを催してきた。今回初となる大人の社会科見学は、その活動をベースに、オーチス・エレベータへの理解をさらに深めてもらうことを目的に企画したという。
当日は、日本オーチスの概要説明に続く、メンテナンス作業の見学を含む施設ツアーで館内を巡った。
世界シェアトップを誇るリーディングカンパニーが、あえて「裏側」を限定公開した理由について代表取締役社長のパトリック・ヨング(Patrick Yeung)氏は、「エレベーターは身近すぎるがゆえに、仕組みや支える人の存在を意識する機会は多くない。しかし、ボタンを押すだけで動く、その『当たり前』を支えている技術や現場の努力こそが私たちの仕事の本質だ」と強調した。
NOLECは、敷地面積約8万平方メートル、約600人が働く日本オーチスの中核拠点で、設計、製造、物流、トレーニング、コールセンターの機能を集約している。
今、日本オーチスが最も注力しているのが、最新モデル「Gen3(ジェンスリー)」エレベーターだ。プロダクトマーケティング部 部長の小谷剛氏は、「Gen3はIoTを標準搭載し、常時インターネットに接続している第3世代の製品だ」と紹介した。
従来のワイヤロープに代わり、耐久性に優れた「フラットベルト」を採用。また、最先端のIoTデジタルプラットフォーム「Otis ONE(オーチス ワン)」との連携により、エレベーターの状態を24時間365日リアルタイムで監視し、異常の兆候を事前に察知する「予測保全(予知保全)」を実現している。
昨今のビルでは、警備や清掃などに自走式ロボットを導入するケースが増えている。見学会でも、クラウドを介してロボットが自らエレベーターを呼び出し、フロア間を移動する「ロボット連携」を実演した。サービス・MODエンジニアリング IoT Japan・部長の宮島弘光氏は、「以前は物理的な配線が必要で大掛かりな工事を伴ったが、今は小さなインタフェースを設置するだけのため、半日もあれば導入できる」とロボティクス技術の進化を語った。
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