地場ゼネコン22社が集結、建設DXやAIの実践事例を共有産業動向(1/2 ページ)

全国47都道府県から約120社の地場ゼネコンが参画する建設DXコミュニティー「ON-SITE X」では、地域を越えて技術者や経営者がつながり、DXやAI活用の実践事例を共有している。2026年6月、静岡県三島市で「ON-SITE X 大交流会 2026」を開催し、全国22社65人が参加した。

» 2026年07月31日 18時06分 公開
[黒岩裕子BUILT]

 全国の地方建設業が参画する建設DXコミュニティーON-SITE Xは2026年6月2日、静岡県三島市の加和太建設で「ON-SITE X 大交流会 2026」を開催した。当日は全国22社65人が集結。土木/建築/AI活用の3部門で計6社が登壇し、プログラミング未経験の現場監督がAIアプリを自作した事例やデジタルツールを活用した業務改革による大幅な残業時間削減の取り組みなどを明かした。

「悔しさ」を持ち帰り、自社改革の原動力に

ON-SITE X発起人の加和太建設 代表取締役 河田亮一氏

 ON-SITE Xは、2022年7月に静岡県の地場ゼネコン加和太建設、木内建設、須山建設の3社で発足した。現在、参加企業は全国約120社、47都道府県にまで拡大している。年1回の全国規模の交流会の他、各地域での交流会、オンラインイベントなどを通じて、DXやAI活用の実践事例を共有している。毎月開催のオンラインイベントには平均29.8社、53.6人が参加。地域を越えて技術者や経営者がつながり、自社のチャレンジや共創のきっかけにもなっている。

 発起人の加和太建設 代表取締役 河田亮一氏は「例年、登壇者の先進的な取り組みを聴講すると『なぜ当社ではできないのか』と悔しさを覚える。参加者の皆さんにもこうした思いを持ちかえってもらい、それを原動力に自社に変化をもたらしてもらいたい。各社が良くなることが、業界全体が良くなることにつながる」と要望した。

プログラミング未経験の現場監督がAIアプリを次々自作

 土木部門の発表では、広島県広島市の鴻治組と静岡県浜松市の中村組が登壇した。

鴻治組 取締役副社長 檜山直稔氏

 鴻治組は1882年創業、従業員数は144人。広島港埋め立て工事への参画を皮切りに、マツダスタジアムなど地域を代表する土木/建築工事を手掛けてきた。取締役副社長 檜山直稔氏は、「これまで全社で建設DXを推進してきた結果、社内の意識が前向きに変化し、若手社員の採用/定着率改善や品質向上などの成果が現れている」と紹介した。

 建設DXでは点群測量や3Dモデル内製化に加え、ドローン活用、遠隔施工、建設用プリンタやなどにも挑戦。2025年度には2現場で中国地方整備局主催の中国インフラDX表彰を受賞している。

鴻治組 土木部 主任 中口勇樹氏

 生成AI活用も積極的に進めており、書類作成の支援の他、現場写真からの施工状況レポート作成や出来形データの分析/可視化などの現場管理、概算数量計算の検算などコスト/工程管理、発注者向け資料の作成補助などの幅広い業務で利用している。

 現場監督の土木部 主任 中口勇樹氏は、プログラミング知識ゼロから生成AIを活用し、「出来形管理アプリ」や「鋼矢板出来形管理システム」、現場写真を基に「創意工夫」レポート作成を支援するアプリなどを開発した。中口氏は「既存システムが現場に合わなかったため、自分でAIを使ってアプリを作ろうと考えた。半年前までは仕事でAIを使うことは想定していなかったが、現場の課題を解決したいという思いから活用が広がった」と振り返る。一方、「AIが全て正しいわけではない。安全や最終判断は現場に立つ人間の役割であり、人とAIが共存することが重要だ」と語った。

中村組 DX推進課課長 中村健氏

 中村組は1910年創業、従業員数は209人。DXを一部の担当者だけの取り組みにしないように、土木や建築の壁を越えて全社員が最低限のデジタルツールを使いこなせることを重視し、2026年4月にDX推進課を設置。現場経験者を中心に全社横断でDXを推進している。

 土木領域ではCIMモデルや点群の他、3D配筋検査システムや施工管理アプリ、法面3D出来形、ICT施工などに取り組み、2025年には点群データと3Dモデルを活用した施工可視化の取り組みで中部DX大賞を受賞した。

中村組 DX推進課課 鈴木寛太氏

 発表では、一部の現場だけを高度化するのではなく、「0を20に引き上げる」という発想の転換を提言した。全社へ社内へ波及させていくという観点から、DX推進課ではまず社員へのヒアリングを強化。問い合わせのハードルを下げるとともに、特定の個人に問い合わせが集中することがないように、社内の問い合わせを一元管理して部署として対応できる仕組みを整備した。さらに初心者目線の講習や導入後のアンケートを繰り返し実施した結果、DXを活用する現場は25現場中、従来の5現場(20%)から18現場(72%)へ拡大した。

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