東京大学のシンボルとなっている重要文化財「赤門」の改修工事が進んでいる。清水建設が伝統的な木造技術と最新の3Dスキャン技術を融合させ、耐震補強を施し、2027年秋の開門を目指す。
東京大学のシンボルとして親しまれる「赤門」の改修工事が、現場を完全に覆う素屋根の中で着々と進んでいる。
赤門は老朽化と耐震性の懸念から2021年2月以降、閉門している。清水建設は技術提案型入札で改修工事を受注し、2025年9月に着工した。
本プロジェクトは、文化財補助金と東京大学創立150周年記念事業「ひらけ!赤門プロジェクト」の寄付を受け、「赤門周辺の歴史的環境保全事業」の一環として計画。東大創立150周年と赤門創建200年に当たる2027年秋に、再びその姿を現して開門する。
国の重要文化財に指定されている東大赤門は、1827年に加賀藩主の前田家13代斉泰が徳川将軍家から溶姫を迎える際に建造した貴重な旧御守殿門。切妻造の本瓦葺で、両脇に唐破風(からはふ)造の番所を備える。建築様式としては「薬医門」と呼ばれ、屋根の頂部にある棟(むね)の位置が、屋根を支える6本の柱の中心より若干表側に寄っている。東大赤門の場合は、頂部の棟が6本柱の中心より本郷通り側に約50センチ寄っており、表側の4本の柱により多くの荷重がかかるため、比較的不安定な構造を抱えていた。
清水建設は構造的弱点を克服するため、赤門を構造的にバランスさせる画期的な手法を導入。赤門裏側の控え柱2本の足元に各2.8トンの鉄筋コンクリート製カウンターウエイト(錘)を設置し、柱下部を貫く横架材で連結する。地震が発生して屋根が本郷通り側へ倒れようとする際、裏側の柱に生じる引抜き力にこの錘が対抗して門を支える。
さらに、過去の改修工事で施した6本の柱の足元継手部に炭素繊維補強を追加し、本柱と控え柱を維持する。また、屋根の施工を土葺きから釘止めの空葺きに変更し、屋根全体の重量を5トン近く軽量化して地震力を低減する。両脇の番所には、内部の漆喰壁をいったん解体して木製の耐震壁を組み込み、再び漆喰で仕上げることで地震時の変形を抑制する。
工事に当たっては、宮大工から受け継ぐ伝統的な木造技術に加え、最新のDX技術も駆使している。赤門の絶対的な寸法を3D点群データとして子細に記録する3Dスキャン測量を導入した。形状が複雑な部位を復元する際、取得した高精度なデジタルデータを定規として活用し、正確な修復を実現する。
仮設計画でも、既存屋根面に支柱を必要としない独立素屋根を採用して施工性を高め、本郷通りの通行を妨げないように入場ゲートを大学敷地内に設けるなど、周囲への配慮を徹底した技術提案が最優秀の評価を獲得した。
歴史的価値の高い文化財を後世へ残す使命について、清水建設は「引き続き、祖業である宮大工の技術や文化を連綿と継承していくとともに、伝統木造技術と先端技術の融合を図りながら、国内の歴史的建造物の保存に寄与する」と意気込みを示す。
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