プロジェクトマネージャーの西村俊郎氏は、新タフブックが堅牢性と機能性という一見すると、相反する要素をいかに両立させたか、技術的な工夫を紹介した。
通常であれば、長時間稼働のためにバッテリーを大容量化すれば重さが増え、落下耐性も弱くなる。また、拡張のために筐体(きょうたい)内に空間を設ければ、構造的に強度を保てない。
タフブックの開発では、筐体そのものが基板や液晶を守る「鎧(よろい)」となることを目指している。工事現場では、業務に必要な機器や工具をPCと一緒に持ち運ぶため、PCには常に落下のリスクがつきまとう。
新タフブックでは、こうした利用環境を想定し、マグネシウム合金製の筐体を採用。コネクターも衝撃に耐えるフローティング構造とするなど、細部にわたる工夫を施している。また、屋外での使用に対し、高い防塵/防滴の性能も備える。会場では、稼働中のタフブックにバケツの水をかけて防水性も証明してみせた。
今回の新タフブックには、特に建設現場を意識したモデルを用意。それが、FZ-56の「ディスクリートGPU(外付けGPU)搭載モデル」だ。西村氏は、「建設現場でBIMモデルを快適に操作したいというユーザーの強い要望があり、FZ-56として初めてGPU搭載モデルを展開することに決定した」と明かした。
GPUはAMD製の「Radeon PRO W7500M」を採用し、専用の冷却モジュール、特製の裏蓋と合わせてBTOオプションで提供。建設現場でも、BIMや3DCADの作業がストレスなく行えるようになり、昨今注目が集まるAI処理にも活用が見込める。

GPUモジュールを搭載したFZ-56でRevitを起動。GPUでBIMやCADのオリジナルデータもストレスなく扱える。GPUユニットは、FZ-56の底部に装備。専用の冷却モジュールなどをセットにしたBTOオプションとして提供する 筆者撮影建設現場で有効な新機能としては、「オートモード」を搭載したタッチパネルがある。独自のアルゴリズムにより、指先、手袋、スタイラスペンなどでPCを操作できる機能だ。画面に水滴がついても、画面入力をデバイスが自動判別。作業中に設定を切り替える手間を省き、軍手はもちろん、作業用の多くの手袋/グローブをしたままでもストレスのない操作を可能にする。
西村氏は、堅牢性(落下耐性)と防塵/防滴性能について具体的な数値も示した。堅牢性ではFZ-56は90センチ、FZ-40は180センチの高さからの落下試験(各26方向)をクリア。防塵/防滴では、階段型嵌合(かんごう)構造のFZ-56がIP53、密閉性を高めるシリコンを用いたFZ-40がIP66に準拠した性能を有する。
動作温度では、マイナス10度から50度という広範な温度に対応し、低温時にデータ損傷を防ぐためにSSDにヒーターを内蔵している。他にも最大2個のバッテリーを積載できるなど現場を意識した仕様だ。
タフブックのバッテリーは電源を入れたままで、交換できるホットスワップに対応する。電源の確保が難しい現場でも、作業を中断せずに済む。
タフブックの販売方針と日本市場での新たなターゲット層については、国内営業責任者の重野敬人氏がプレゼン。
重野氏が強調したのは、新タフブックの適材適所への導入だ。警察や消防、災害など、1分1秒を争うようなミッションクリティカルな環境には、シリーズ最高峰の堅牢性を備えた「FZ-40」を提案。建設現場のように「半屋外」や「室内」でありながら、粉塵や衝撃、熱、寒さに悩まされている現場には、機動性に優れた「FZ-56」を訴求した。
重野氏が注目しているのが、これまでビジネスPCを使い続けてきた建設や製造などの現場だ。こうした現場では一般的なビジネスPCが使われてきたが、内部に土やほこりが入り込み、障害が発生して作業が止まるという悩みが多かった。この点、タフブックでは「パソコンがほとんど止まらなくなり、現場がスムーズに回るようになった」という喜びの声が多く届いていると報告。
最新の両モデルは、パナソニック コネクトでの直販や販売代理店を通じて購入可能だ。FZ-56については個人事業主向けに「Panasonic Store Plus」での取り扱いも行われる。大手ゼネコンから地域の工務店、フリーランスの技術者まで、幅広いユーザーが「止まらないデバイス」を入手できる環境が整う。
発売時期は、シリーズ最強堅牢モデルのFZ-40が2026年4月、標準モデルのFZ-56は2026年6月から。注目のGPUを搭載したFZ-56のBTOカスタマイズモデルは、2026年夏頃の発売を予定している。
重野氏は「日本国内では堅牢PCが浸透していない業種や現場もまだまだ多い」とし、「『堅牢PCといえばタフブック』というブランドを確立し、過酷な現場業務をこれからも支えていきたい」との意気込みを口にした。
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