公共事業では多様なステークホルダーが関与するため、関係者間のコミュニケーションが必須です。事業推進には受発注者をはじめとして、国民や受益者を含む幅広い関係者の理解が求められます。
ここ数年で情報の円滑な共有や利活用に向け、デジタルツイン技術が急速に発展しています。下図は、河道閉塞(へいそく)の災害対応で初動期の多様な情報をAIでリスク評価しながら、関係者で共有するシステムです※7。
発展著しい「基盤モデル」や「エージェント」の活用による情報の収集/分析や意思決定支援なども関心を集めています。事業の合意形成や実施、協議/調整の中で作られる多くの資料や図面に加え、これまで蓄積されてきた技術図書や過去の記録などから、知見や知識を抽出する研究が進められています※8、9。
インフラや災害などに関する情報は、AIとの接続に適する規格「MCP(Model Context Protocol)」※10に対応した形での国土交通データプラットフォームでの提供※11が進められており、地理空間情報の公開も始まっています※12。
また、技術基準をAIで活用しやすい形で提供する取り組みも行われています※13。このようにAIに適した形でのデータの整備が進むことで、AIの研究開発や利活用が大きく発展するものと期待されます。
※11 国土交通省「国土交通データプラットフォーム/MLIT DATA PLATFORM MCP Server」
※12 国土交通省「AIを活用した多様な地理空間情報の連携環境を試作・提供!〜地理空間MCP Server(α版)の公開〜」
※13 国土交通省「活用しやすい河川砂防技術基準に向けての取り組み」
特に日本は自然災害が多く、過去の災害記録やデータが膨大に残っており、トンネルや長大橋などの貴重な建設経験や老朽化構造物の維持管理記録なども豊富に存在します。こうしたデータの整備を推進することが、我が国の強みを最大化することにつながるでしょう。
自然災害やインフラ老朽化などの問題はますます深刻化する一方、対応する要員は減少し続けています。土木技術を発展させ、安全安心で豊かな暮らしを守り、一般社会や経済の成長につなげるには、AIが決め手となるでしょう。
今後さらに加速するAIによる土木の革新――。その答えはまだ見えていません。今回取り上げた技術もごく一部にすぎず、建設業各社にとってチャンスは大きく広がっています。それぞれの現場での日々の創意工夫を通して「勝ち筋」を探り、失敗を含めて経験を共有しながら、可能性をともに考えていきましょう。
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