国交省が進める「i-Construction 2.0」でも、AI活用が建設業の生産性向上を実現するための重要な要素技術となっています。今回は、i-Construction 2.0で標ぼうする3つの“オートメーション化”で、AIがもたらす可能性について土木学会の論文を引用しながら考察します。
建設現場の生産性向上の取組として、国土交通省では2016年度から、ICT施工をはじめとする「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を進めています※1。2024年4月には、建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性1.5倍を2040年度までに向上することを目指し、「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」を3本の柱とする「i-Construction 2.0」を策定しました※2。下図はi-Construction 2.0で実現を目指す社会のイメージです。
i-Construction 2.0の生コンクリートの品質管理では、生コン車のシュートの生コン流下画像にAIを適用し、スランプ試験を廃止する検討が進められています※3。その一例をみても、i-Constructionの自動化/省人化でAIが鍵となっています。
※2 国土交通省「『i-Construction 2.0』を策定しました〜建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)〜」
※3 国土交通省「コンクリート生産性向上検討協議会(第14回・令和7年2月26日)」
★連載バックナンバー:
本連載では、土木学会 構造工学でのAI活用に関する研究小委員会で副委員長を務める阿部雅人氏が、AIと土木の最新研究をもとに、今後の課題や将来像について考えていきます。
建設現場ではここ数年で、施工管理に活用するための定点カメラが普及してきています。従来は現場で人の目による観察で、建設機械の歩掛や作業状況を知ることで出来高を管理していましたが、AIを用いて映像から建機を検出することで、日々行われる出来高管理が効率化されると考えられます。下図は、各種建機を画像から検出している例です(文献4)。
建設現場の作業員の位置情報は、安全性や生産性向上に重要な役割を果たします。位置情報を取得するには、画像※5やビーコン※6を用いた方法などが提案されています。文献7では、照度に影響されず、屋内や地下空間、広域の現場でも計測できるLiDARによる点群を用い、深層学習と動体検出技術も利用して作業員を検出する方法が研究されています(下図)※7。
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