高性能断熱材「TIISA」使用した断熱塗料を外皮に採用、鴻池組が長期性能評価実験製品動向

鴻池組は、Thermalyticaが開発した高性能断熱材「TISA」を用いた断熱塗料を建築物の外皮に採用し、長期性能を評価する実証実験を行っている。

» 2025年12月26日 16時00分 公開
[BUILT]

 鴻池組は2025年12月22日、物質・材料研究機構(NIMS)発ベンチャーのThermalytica(サーマリティカ)と共同で、高性能断熱素材「TIISA(ティーサ)」を使用した高性能断熱塗料の実証実験を開始したと発表した。

ALTALT 屋根面への断熱塗料の施工(左)、屋根裏面のサーモグラフィ画像(右) 出典:鴻池組プレスリリース

 Thermalyticaが開発したTIISAはエアロゲル(酸化シリコン)の一種。特殊な微細構造で市販のエアロゲルよりも3桁小さい粒径を実現し、同じ重量で利用できる体積が最大10倍に増えるため、軽量で経済性が高いことが特徴だという。空隙率99%以上の多孔構造体が固体伝熱と気体分子の衝突に伴う伝熱を抑制し、高い断熱性を発揮する。

ALTALT エアロゲル膨張性能の比較(左)、「TIISA」断熱超微粒子(右) 画像提供:Thermalytica

 実証実験は茨城県つくば市の鴻池組技術研究所「つくばテクノセンター」で、2025年9月1日に開始。TIISAを混合した断熱塗料を建築物の外皮に採用し、長期性能評価を実施する。

 TIISAの混合量をパラメータとした多様な塗料を実際の建物屋根面に施工して温度や熱流を長期観測し、断熱/省エネ効果を検証している。外部環境での耐久性について、促進耐候性試験などを行っている。

 鴻池組は今後もTIISAの可能性について検証し、建物の省エネ化や脱炭素化に寄与する断熱技術の確立を目指す。

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