パナソニック ハウジングソリューションズは、地方の工務店や建設会社による「性能向上リノベーション」を支援する新たな仕組み「リノUP」を立ち上げた。築25年以上の木造戸建てを新築同等の断熱や耐震の性能へと再生するべく、マーケティングから、積算、設計、施工までを包括的にサポートする。
パナソニック ハウジングソリューションズは、地場の工務店や建設会社による「性能向上リノベーション」を支援する新たな仕組み「リノUP(アップ)」の提供を2025年11月28日から開始した。性能向上リノベーションとは、新築同等の断熱や耐震性能へと再生する改修工事のこと。団塊世代から団塊ジュニア世代への実家相続が進む中、新築住宅の価格高騰を背景に、実家再生の手法として需要が高まっている。
リノUPでは、マーケティングノウハウや概算見積もりを迅速化するツール、設計・施工の技術サポートを提供する。対象は全国約350社の住宅建築ネットワーク「パナソニック ビルダーズ グループ」、リフォーム専門ショップ約250社が参加する「Panasonic リフォームClub」、リフォーム会社や工務店が登録する「パナソニックの住まいパートナーズ」の各加盟店。まずはパナソニック ハウジングソリューションズがリノUPの参加企業を募集し、応募企業にサポートサービスを提供。その後、建替えに並ぶ選択肢として、性能向上リノベーションを消費者に提供する流れだ。
サポートサービスのうちマーケティング支援では、戸建てリノベーション事業に知見を有するコダリノ研究所と協力し、認知獲得や集客の仕組みを整えるためのノウハウを提供する。具体的には、体感型モデルハウスの活用法、デジタルとアナログ媒体を組み合わせた情報発信術、受注につながる発信手法やセミナー手法などをマニュアル化し、加盟店へ展開する。
見積もり提出の迅速化では、リノベーション専用の「スピード概算見積もりツール」で対応。材工単価や標準粗利率をあらかじめ設定しておくことで、建築専門知識を持たない営業担当者でも、CAD積算なしで独自のロジックにより、概算見積もりを作成できる。邸別のプランに応じた各数量の拾い出しや各工事部位ごとの協力業者へ見積り依頼、調整といった時間の掛かる作業を省略し、現地調査後、1週間程度で概算見積もりを提示可能になる。
リノベーションの性能向上に向けては、断熱や耐震補強に必要な部材配置を決定し、計算書を発行する「性能向上設計サービス」を用意した。図面が残っていない住宅でも、現況の寸法が分かる簡易な平面図や立面図、設備情報といった必要最小限の情報と計画図を準備できれば、計算書を発行できる。柱の抜き取り、梁(はり)補強、劣化部材の補修などを図解した「リノベーション工事施工手引書」で、施工品質の確保に役立つ。さらに、リノベ工事の仕上がり確認に便利な工事用チェックリストも提供する。
近年、団塊世代から団塊ジュニア世代への実家相続が進む中、新築住宅の価格高騰を背景に、実家を活用する動きが広がっている。そのような状況を背景に、思い出の詰まった実家を残しながら新築同等の断熱や耐震性能へと再生する「性能向上リノベーション」が新たな選択肢として注目を集めている。一方で施工技術に加え、マーケティングや積算などの面でノウハウが無いと事業化のハードルが高く、市場ニーズに応えられる事業者が限られているのが現状だ。
そのため、パナソニック ハウジングソリューションズは地場の工務店や建設会社による性能向上リノベーションを支援する新たな仕組みとして、リノUPを提供することとなった。
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