地震などの災害時には、交通ネットワーク全体の通行可能性を迅速に把握することが欠かせません。その1つの方法として、センサーなどにより、橋梁(きょうりょう)の損傷を遠隔観測することが有効だと考えられます。文献8では、下図のような山間部の橋梁の遠隔観測を想定し、3次元モデルとセンシング情報を組み合わせ、一目で損傷状況を把握できるような可視化を試行しています※8。
地震時などで損傷が見られる例の多い桁端や支承部分を対象として、3次元モデルと支承の変位の画像データを統合して可視化した例が下図です。
このようなデジタルツイン技術を教育へ応用する試みも進んでいます。土木工学初学者に対し、「身近な土木構造物の存在に気付く」「多角的に構造物を観察して理解を深める」「最新技術に触れる」などを目的に3次元スキャンして得られたデジタルツインをVRを用いて観察する教材が提案されています※9。
デジタルツインとAIの組み合わせにより、構造物の維持管理や被災時対応の際、検出された損傷や異常などを位置や寸法情報とともに記録することが可能となりつつあります。土木現場で普及すれば、現場業務の効率化や迅速化、さらには人材育成にも大きな効果が期待されます。
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