隅田川橋梁で国技館の四神を光で表現 パナソニックの光環境シミュレーションとVRを活用照明設計(1/3 ページ)

JR総武線橋梁のライトアップに、パナソニックの演出照明が72台採用された。照明設計やJRとの打ち合わせには、パナソニックの建築照明設計用ソフトウェア「Lightning Flow」、パナソニック東京汐留ビルにある複数人が同時にVR体験できる施設「サイバードーム」を活用した。

» 2025年11月19日 09時22分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 JR総武線の各駅停車は「浅草橋」駅と「両国」駅の間で隅田川を渡る。その隅田川橋梁のライトアップが2025年9月29日からスタートした。光の演出には、パナソニック エレクトリックワークス社(以下、パナソニック EW社)の照明機器と光環境のシミュレーション技術が活用されている。

 隅田川橋梁の上流には都道315号線(通称、蔵前橋通り)が通る蔵前橋、既に東京都がライトアップしている。下流には国道14号線が走る両国橋もあり、こちらも2025年3月にライトアップが始まっている。そして今回、2つの橋の間にある隅田川橋梁もライトアップされたことで、エリア一帯の夜間景観が一層魅力的になったといえる。

 今回の演出には、パナソニック EW社が開発した世界最速の処理スピードを謳う、建築照明設計ソフトウェア「Lightning Flow(ライトニングフロー)」、大型の球面ディスプレイを活用したVRシステム「サイバードーム」を用いた。

 2025年10月2日に開催した現地見学会で、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)の森田翔大氏、パナソニック EW社の先崎(せんざき)綾華氏と高島深志氏にライティングの意図やLightning Flowとサイバードームを活用方法などを聞いた。

ライトアップされた隅田川橋梁を下流の両国橋から望む。奥に見えるスカイツリーの照明もパナソニックが手掛けた ライトアップされた隅田川橋梁を下流の両国橋から望む。奥に見えるスカイツリーの照明もパナソニックが手掛けた 写真は全て筆者撮影

地域とのつながりをライティングで演出

JR東日本 千葉電力設備技術センター 設計グループ 森田翔大氏 JR東日本 千葉電力設備技術センター 設計グループ 森田翔大氏

 このところ、水辺空間の下流域の賑(にぎ)わいに注目が集まっている。東京都では、2023年6月に、隅田川などにおける未来に向けた水辺整備の方針をとりまとめた。今回のライトアップは、JR東日本が都の方針に沿い、両国エリアでの地域の賑わい醸成や地域とのつながり強化といった活動を具現化したものだ。

 隅田川橋梁がある両国界隈は、江戸時代から続く歴史と文化が現代に色濃く残るエリアだ。特に両国国技館がある両国は、「相撲」のイメージが強い。隅田川橋梁のライトアップでは、18時から22時の間、毎日5回の毎正時に両国国技館の土俵屋根にある4つの房(四神)のカラーを投影する。四神とは青龍、朱雀、白虎、玄武の霊獣で、それぞれが東、南、西、北の方角を司るとされる。ライティングでは、青龍を水色、朱雀を桃色、白虎を白、玄武を青紫で表現している。

 JR東日本 千葉電力設備技術センター 設計グループ 森田翔大氏は、色を変化させるライトアップを「地域の文化と連動した演出だ。特別な日には別のテーマで隅田川の夜を華やかに光で演出する」と説明した。

毎正時(18時、19時、20時、21時、22時の1日5回)には、3分程度のカラー演出がある 毎正時(18時、19時、20時、21時、22時の1日5回)には、3分程度のカラー演出がある 提供:パナソニック エレクトリックワークス社
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
あなたにおすすめの記事PR