下図左は、木まくらぎの劣化度の判定例です。列車前方画像は斜めから撮影した画像になりますので、下図右のようにまくらぎが実寸法と同じ縦横比率になるように変換して、従来の目視検査に近い状態の俯瞰画像を求めています。また、設置位置が分かっている軌道検測車用のデータデポを利用して、画像からデータデポを検出することで、まくらぎの位置を高い精度で求めています。
360度カメラは広い範囲を撮影することが可能なことから、点検や各種現場用途に用いられることも増えています※4。全天球画像に対しても、連載23回で取り上げたSfMが適用可能です※5。球面座標系を考慮したSfMで、下図のようにカメラ姿勢を逆算し、撮影画像を組み合わせて3次元モデルを得ることができます※6。
※5 BUILT「点群とAIを土木の設計や維持管理に応用する最新の技術動向【土木×AI第23回】」
下図のように得られた3次元モデルと、AIで検出した損傷を重ね合わせて表示する検討も進められています※6。
画像による損傷検知と、LiDARによる点群計測を組み合わせ、損傷の正確な位置や寸法を計測する研究も進められています※7。LiDARによる点群は、画像に比べ空間的な解像度が低いので、点群のみでは特に小さい損傷は検出することは困難です。そこで画像とLiDARによる点群で、損傷の検出と位置/寸法の計測の両方が高い精度となるように試みています。下図は、導水路トンネルの錆の領域に対応する点群を自動的に抽出した例です。
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