三菱地所設計が設計監理、清水建設が施工する東京駅日本橋口前の「Torch Tower」で、低層部のファサードを特徴づける巨大な斜め鉄骨柱の建方作業が始まった。Torch Towerの高さは約385メートルで、完成すれば国内最高層のビルとなる。完成予定は2028年。
三菱地所設計と清水建設は2025年9月2日、東京駅日本橋口前に建設している地上62階建ての「Torch Tower(トーチタワー)」で、地上階の鉄骨建方作業が始まったと発表した。低層部のファサードを特徴づける巨大な斜め鉄骨柱が姿を現した。
Torch Towerの高さは約385メートルで、完成すれば国内最高層のビルとなる。完成予定は2028年。
今回建方作業が始まった斜め鉄骨柱は、建物を支える構造体「ダイヤグリッド架構」を構成するもの。斜め鉄骨柱と鉄骨梁(ばり)で構成する三角形のフレームが、地震時の建物の揺れを抑制する。ダイヤグリッド架構は、三菱地所設計が地震の多い日本で400メートルクラスの超高層ビルを合理的に成立させるために開発した構造計画「外殻制振構造」の主要構成要素で、清水建設の施工具現化に向けた技術開発が加わり実現した。
一般的な超高層ビルがジャングルジムのように鉛直と水平の柱/梁を組み上げて構造体を構成(ラーメン構造)するのに対し、Torch Towerでは建物外周に斜め部材を効果的に配置し、建物全体を1本のチューブ状の構造体とし強靭化を図る。
1〜9階床高さまでの低層部は「ダイヤグリッド架構」、その上部(基準部)は同様に斜めの部材で構成される「ブレース架構+オイルダンパー」として、斜めの構造体がタワー全体の表情をつくり出す。
1周約400メートルの全外周に、高さ約52mまで連続して構成されるダイヤグリッド架構の鉄骨総重量は約1.1万トンに達する。建築の構造体としては国内最大級の規模で、タワー重量約80万トンの約4割強に相当する約32万トンを支える。使用する斜め鉄骨柱は現代の建築鉄骨工事(製作/建方)で合理的に可能な最大級の大断面(断面1.4×1.6メートル、最大板厚90ミリ、部材最大重量28.4トン)を備える。
工事は建物の北東コーナー部から先行して斜め鉄骨柱の建方を進め、2025年10月をめどに第1節の建方、2026年2月をめどに第4節(9階床高さ)の建方完了を予定している。
Torch Towerは基準階約2000坪の大規模オフィス、大規模商業施設の他、展望施設、住宅、ホテル、収容人数2000席級のホール機能を備えた超高層ビル。三菱地所設計が設計監理を、清水建設が施工を担う。延べ床約55万3000平方メートルで、街区中央には約7000平方メートルの大規模広場を設ける。2023年9月の着工後、既存施設の解体やTorch Towerの地下工事を進めてきた。
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