清水建設グループのエスシー・マシーナリ、パナソニック ホールディングス、シャープは、建設現場でタワークレーンオペレータと玉掛合図者との無線通話を円滑化するクレーン用デジタル合図無線「スマホ無線機『スカイクリア』」を開発した。
清水建設グループのエスシー・マシーナリ(SCM)は2025年8月4日、パナソニック ホールディングス、シャープと共同で、クレーン用デジタル合図無線「スマホ無線機『スカイクリア』」の技術実証に成功したと発表した。
タワークレーンオペレータと玉掛合図者の無線通話を円滑化する技術で、清水建設が施工中の都内の超高層ビル建設現場に導入し、安定した通話性能を確認した。
建設現場では主に周波数400MHz帯のアナログ特定小電力無線機が使用されているが、高さ200メートル級の超高層ビルの現場で電波が届かなかったり、クレーンが密集する現場で混信したりするなどの不具合が生じていた。
スカイクリアは、sXGPのネットワークを構築する無線基地局「xGsPod」を搭載したマスター基地局、通信エリア拡張用アンテナ、アンテナをLAN接続するPoEスイッチングハブなどで構成。sXGPはスマートフォン通信回線として使用されるモバイル通信方式で、高い通信機能を備える。上下階アンテナをLAN接続することによる超高揚程通話、最大32台(4人×8グループ)のスマホ接続も可能だという。
スカイクリアを導入した超高層オフィスビル現場では、低層階にマスター基地局とアンテナを、躯体上部のタワークレーンのガイドマストにアンテナを設置してLAN接続し、タワークレーンオペレーターと地上と屋上にいる玉掛合図者のクリアな同時通話を実現した。
この成果を踏まえ、2025年秋には、清水建設が施工する完成すれば日本一の高さ(高さ約385メートル、地上62階)となる「Torch Tower」(施行者:三菱地所、設計監理:三菱地所)の現場でも採用される予定だ。
開発にあたり、SCMは実証実験を行う建設現場の確保/調整と実証実験用重機の提供を、パナソニックはsXGPの通信に必要な各種サーバやマスター基地局、アンテナの製作を、シャープはモバイル端末管理クラウドサービス「LINC Biz emm」の提供や技術実証に用いるsXGP対応スマートフォンの提供と管理、専用通話アプリの開発を担当した。
今後、300メートル超の高層ビルの他、大型現場隣接地やクレーンが密集する建設現場などを対象に、スカイクリアをタワークレーンとセットで提供していく。
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