日建設計は、2030年に売上高990億円を目指す、新たな5カ年経営計画を策定した。新しい経営ビジョンでは「共創」を軸に、社内ではAIとの共創による建築生産システムの構築、対外的には共創施設「PYNT」を活用した他社との協業など、「社会環境デザインのプラットフォーム」企業を目指す方針を打ち出した。その成果の1つとして、ソフトバンクと共同設立した新会社が、2026年3月から次世代のスマートビル普及に向けたビルOSを提供する。
日建設計は2025年12月11日、2026〜2030年の新たな経営計画を発表し、東京都千代田区の竹橋オフィス5階にある共創オープン施設「PYNT竹橋」で記者説明会を開催した。
会見では、AIと人が共創する「建築生産システム」の構築や共創スペース「PYNT」を軸にした社会課題の解決など、「社会環境デザインのプラットフォーム」企業を目指す方針を示した。また、ソフトバンクと共同設立した新会社が2026年3月に、次世代のスマートビル普及に向けたビルOSを提供することも明らかにした。
日建設計は1900年の創業から、2025年で125周年を迎えた。建築設計や都市デザイン、コンサルティング業務を手掛ける企業として、日本のみならず中国、ASEAN諸国、中東、インド、欧州などグローバルに連携し、多様なプロジェクトに参画してきた。外部資本に頼らず、発行済み株式の大半を役員や互助会で保有する安定経営も特徴だ。
会見で代表取締役社長の大松敦氏は、大阪府立中之島図書館(1904年)から、住友ビルディング(1926年)、東京タワー(1958年)、新東京国際空港(1978年)、そしてEXPO 2025 大阪・関西万博(2025年)に至るまで世に送り出してきた建築作品を紹介。「日本の歴史を象徴する建築プロジェクトに携わってきた」と語った。
しかし、現在の建築業界は人材不足や環境問題など多くの課題に直面している。大松氏は「2026年を迎え、課題解決のために他企業との連携や共創をより強化する」と強調した。新たな経営ビジョンとして掲げたのが、「社会環境デザインプラットフォームとして変革に挑む」だ。建築以外のインフラにも関わり、協業を通じて変革に挑み、ムーブメントを起こす意志を込めた。
その足掛かりとなるのが、建築物の脱炭素やGX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みを指標化し、GHG(温室効果ガス)排出量を可視化する独自システムだ。2022年に三井不動産と共同開発し、業界団体や政府での活用検討に至るまでに発展している。「一つの成功体験に続き、2026年以降も多くの協業事業を手掛けたい」と意欲をみせる。
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