三井住友建設は、タワークレーンと電力線搬送通信、衛星通信サービス「Starlink Business」を活用して、施工階の通信環境構築を容易にする手法を開発した。
三井住友建設は2024年10月16日、高層ビル建設現場の通信環境改善を目的に、タワークレーンと電力線搬送通信、衛星インターネット通信「Starlink Business」(ソフトバンク提供)を利用して、施工階の通信環境構築を容易にする手法を開発したと発表した。
新技術を施工物件に適用した結果、施工階でのICTシステム稼働による3割の省人化、常時モニタリングによるリアルタイムでの情報更新/共有の実現、通信環境整備コスト低減などの効果が確認できた。
超高層建物の建設工事では、高さ100メートルを超えると携帯電話やインターネットなどの無線通信が届きづらくなる。躯体工事の関係者は主に最上階で作業していることから、ICTシステムを利用するために、引き込んだ有線LANケーブルを延長する工事が頻繁に発生していた。
今回開発した手法では、タワークレーンの旋回部と非旋回部の間に設置されている既存の電力線用スリップリングを、PLC(電力線搬送通信技術)によって通信ケーブルとして転用する。タワークレーンの旋回に影響されることなく安定した通信環境を維持でき、また、躯体工事の進捗とともにクライミングするタワークレーンを利用することで、常に良好な通信品質の確保が可能だ。
三井住友建設は今後も、超高層建物での施工現場で通信環境の整備を進め、工事関係者間の情報共有に関する管理の手間やタイムラグを解消し、円滑なコミュニケーションを促進する。また、高度なICT/IoT機器の導入や、プレキャスト(PCa)部材の生産管理システム「PATRAC」の機能充実などにより、働き方改革の実現を目指す。
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