第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−

日本一の超高層ビル「麻布台ヒルズ」建設で、清水建設がチャレンジした建設DXの足跡を辿る第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−(1/3 ページ)

2023年秋に開業する「麻布台ヒルズ」の建設プロジェクトで、清水建設は約330メートルのメインタワーを含む“A街区”を担当した。1日5000人を超える作業員が働く建設プロジェクトでは、清水建設の建設DXが余すところなく採り入れられたという。

» 2023年04月26日 06時15分 公開
[川本鉄馬BUILT]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 清水建設は、「第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」(会期:2022年12月5〜7日、東京ビッグサイト)で、「日本一超高層現場におけるDXチャレンジ」と題して講演した。講演では同社が手掛ける「麻布台ヒルズ(虎ノ門・麻布台プロジェクト)」のA街区新築工事を例に、採用されたDXの試みや得られた課題、今後の挑戦などを紹介した。

 虎ノ門・麻布台プロジェクトは、「モダン・アーバン・ビレッジ」をコンセプトとした、国際都市の洗練さと小さな村のような親密さを兼ね備えた、世界に類のない全く新しい街を作るプロジェクトだ。

 計画では、全体で3つの超高層ビルを建設。清水建設は日本一の高さとなる約330メートルのメインタワーを含む、“A街区”を担当している。ビルの総延べ床面積は46万平方メートルで、鉄骨重量は13万トンにも及ぶ。建設時の最盛期には1日5000人を超える人員が動員された。

 工事を遅延なく進めるには、大量の資材と人員をそれぞれの作業場所に遅滞なく運び、作業に必要な情報を漏れなく共有する必要がある。講演で語られた清水建設が、虎ノ門・麻布台プロジェクトで挑んだ建設DXは、難題を乗り越えるためのチャレンジの足跡でもある。

清水建設のDX戦略の根幹を成す「匠の心を持ったデジタルゼネコン」

 清水建設 東京支店 虎ノ門麻布台再開発A街区建設所 建設所長 井上愼介氏は、清水建設のDX戦略を「ものづくり(匠)の心を持った“デジタルゼネコン”」との言葉で表す。コンセプトには、創業者で宮大工・清水喜助の匠の心と、210年あまりに渡ってものづくりを提供してきた歴史を忘れずに、最先端の技術を活用してデジタル化を進める2つの価値観が表現されている。

 井上氏は、デジタルゼネコンを「リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術を活用して、ものづくりをデジタルで行い、リアル空間とデジタル空間を通して、デジタルサービスを提供するゼネコン」と説明する。清水建設では、DX戦略をものづくり以外の業務全てにも適用し、中期デジタル戦略の軸としている。

清水建設のDX戦略。「ものづくり(匠)の心を持ったデジタルゼネコン」 清水建設のDX戦略。「ものづくり(匠)の心を持ったデジタルゼネコン」
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.