帝国データバンクによれば、2025年1〜6月に発生した建設業の倒産件数が986件に達し、前年同期の917件を7.5%上回った。上半期では過去10年間で最多となり、通年での倒産件数が2013年以来となる2000件台に達する可能性もあるという。
帝国データバンクは2025年7月6日、上半期(2025年1〜6月)に発生した建設業の倒産件数が986件に達し、前年同期の917件を7.5%上回ったと発表した。倒産件数は4年連続で増加し、上半期では過去10年間で最多だった。
集計対象は負債1000万円以上、法的整理による倒産。帝国データバンクによれば、通年での倒産件数が2013年以来となる2000件台に達する可能性もあるという。倒産増加の背景に、資材価格の高騰、職人不足、後継者難の「三重苦」があると指摘した。
資材価格の高騰に伴う「物価高」に起因した倒産は118件と全体の12.0%に上った。鉄骨や木材、住設機器の価格上昇を売価に反映できず、事業継続を断念したケースが相次いだ。神奈川県の新栄塗装工業(負債9000万円)は、資材費と人件費の高騰で収益性が悪化し、2025年5月に破産した。
一方、人手不足による倒産も54件と全体の5.5%を占め、上半期としては2018年以降最多を記録。熟練職人の高齢化に加え、若年層のなり手不足、長時間労働の是正になどにより、工期延長や後ろ倒し、外注割合の増加といった悪循環に陥りやすくなっている。大阪府で管工事を手掛けていたSHINKI(負債1億円)は、人手不足による外注費の増大が経営を圧迫し、資金繰りの改善が進まなかったことで、2025年5月に倒産した。
後継者難による倒産は69件で全体の7.0%となり、人手不足による倒産と同様、上半期としては2018年以降最多となった。
帝国データバンクは今後の見通しについて、「2025年は多くの熟練職人が高齢を理由に引退するとみられ、人手不足は一層深刻化する」と分析。「職人確保のための賃上げが求められる一方、賃金引き上げ余力に乏しい中小建設業の倒産が今後も増加する恐れがある」と警鐘を鳴らしている
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