2024年に発生した建設業の倒産は1890件で、過去10年で最多となった。従業員10人未満の小規模事業者が9割を占め、建築資材価格の高止まりや人件費高騰を背景に事業の継続を断念するケースが目立った。
帝国データバンクは2025年1月21日、2024年に発生した建設業の倒産(負債1000万円以上、法的整理)が前年比219件増の1890件となり、過去10年で最多となったと明らかにした。従業員10人未満の小規模事業者が9割を占め、建築資材価格の高止まりや人件費高騰を背景に事業の継続を断念するケースが目立ったとしている。
業種別では大工工事やとび工事などの「職別工事」が879件、土木工事などの「総合工事」が600件、電気工事など「設備工事」が411件だった。いずれも前年から増加し、「職別工事」「設備工事」は過去10年で最多だった。
従業員数別でみると、最多は「10人未満」の1742件で92.2%を占めた。次いで「10人以上50人未満」143件で、「50人以上100人未満」5件が続く。「100人以上」は2年連続で発生しなかった。
負債額別では、最多が「5000万円未満」の1099件で、11年ぶりに1000件を超えた。「1億円以上5億円未満」406件、「5000万円以上1億円未満」328件と続く。
倒産のうち、資材やエネルギー価格の高止まりを背景とした「物価高倒産」は250件、従業員の転退職などで事業運営が困難になった「人手不足倒産」は99件だった。人手不足による受注の頭打ちや、外注費上昇の影響も複数見られたという。ゼロゼロ(コロナ)融資利用後に倒産した「ゼロゼロ融資後倒産」も143件あった。
帝国データバンクは「建設業の倒産のうち『物価高倒産』が1割を占めた。資材価格高騰分を価格転嫁できず事業継続が困難になるなど、業界を取り巻く環境は依然として厳しい」と指摘。人手不足倒産が前年を上回ったことについても「人手不足により工期の延長や後ろ倒しなどの悪循環が発生しやすい環境が、中小建設業の倒産件数を押し上げる大きな要因の1つとなっている」とコメントした。
今後は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」の影響も出てくるとみられており、帝国データバンクは、建設業者の倒産件数が引き続き高水準で推移すると予測している。
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