ニコン・トリンブルと八千代エンジニヤリングは、AIを活用し、点検時期が異なる2つの撮影画像から、構造物のひび割れなどの劣化状況を可視化する技術を開発した。
ニコン・トリンブルは2024年7月9日、八千代エンジニヤリングと共同で、AIを活用して、橋梁(きょうりょう)を始めとしたコンクリート構造物のひび割れなどの劣化状況を継続監視する「劣化の進行評価技術」を開発したと発表した。
点検時期が異なる2つの撮影画像から、AIにより構造物の劣化進行を可視化し、角落ちなどの異常を検知する。肉眼による確認や過去の損傷図との比較などの作業をデジタル化することで、インフラ維持管理の高度化と効率化を実現する。
今回開発された技術は、ドローンに搭載されたカメラを含むデジタルカメラで撮影したコンクリート構造物の画像から、AIと画像処理技術を使用してひび割れ損傷箇所とその大きさを定量的に把握するとともに、ひび割れ損傷の劣化進行具合を画像と数値で視覚化する。
損傷箇所の検出では、メッシュ単位で区切った領域単位でひび割れ面積を計測し、領域ごとの劣化の進展度合いを評価する。また、劣化進行の状況把握は、コンクリート構造物全体をサイズ可変のメッシュ領域に区切って解析と定量化を行い、ヒートマップとヒストグラムで視覚化された結果をもとに評価を行う。
なお、新技術は2019年から2023年までの期間、多摩市が管理する橋梁を対象とした定期点検、長寿命化修繕計画の改定、補修設計業務で実証を行い、効果が確認された。
2024年度は対象範囲を拡大し、橋梁に加え、高速道路の高架橋や鉄道などさまざまなコンクリート構造物での検証を実施して、新技術の有効性を確認していく。
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