マクニカは、東京大学発スタートアップ企業のARAVと協業し、自動運転監視システム「everfleet」の機能を拡張し、時間や場所に縛られず建機の遠隔操作を可能にした。導入方法はシンプルで、everfleetをインストールしたPCにコントローラーを接続し、建機にARAVの専用パーツを後付けするだけで実現する。
マクニカは、モビリティーの自動運転化や遠隔制御化に取り組んでいる東京大学発スタートアップ企業のARAV(アラヴ)と協業し、建設機械や物流機器の遠隔操作が可能となる機能を追加したマクニカ製遠隔監視システム「everfleet(エバーフリート)」の提供を開始することを2024年11月1日に発表した。
時間や場所にとらわれることなく、世界中のどこからでも建機や物流機器の遠隔操作が可能になり、建設や物流業界の人材不足の解消につながる。
建設業や物流業では自動化のソリューション開発が進んでいるが、現状はその対応可能範囲は限定的で、多くは人の介入や操作を必要とする。
マクニカはこれまで、自動運転の社会実装を実現するため、自動運転車両の提供、安心安全に運行するための技術支援や遠隔監視システムのeverfleet提供など、自動運転のモビリティサービスに対応したシステムの社会実装に注力してきた。
everfleetは、モビリティーの位置情報や車内外のカメラ映像に加え、車速、ステアリング、バッテリー残量などの車両データを統合して一元的に可視化する。信号機などの交通インフラと協調した外部データとの連携も可能で、運行状況を遠隔地からリアルタイムに把握し、安全安心な自動運転が実現する。
今回、everfleetの遠隔監視システムに、建機や物流機器の遠隔操作を対象とした機能を追加した。everfleetをインストールしたPCに専用のコントローラーを接続し、既存の建機や物流機器にはARAV製の専用パーツを後付けで設置するだけで完了。専用コックピット不要で、オフィスのデスクなどでも誰でも簡単に操縦を始められる。建機の種類は問わず、メーカーを問わずさまざまな機械に対応し、多種多様な機械や機器が混在している現場でもコストを抑えて導入できる。通信は、現場と近距離、同一構内のネットワークに加え、インターネット回線を通じて日本国内や国外からも遠隔操作が可能になる。
everfleetを活用することで、作業員が過酷な現場に行く必要がなくなり、安全性が確保され、天候にも左右されない快適な室内環境から建機のオペレーションが実現する。また、建機が置かれている場所までの移動や休憩時間復帰のために毎回移動する手間もなくなり、労働時間の大幅な短縮が見込める。さらに、人手確保が困難な24時間稼働の現場で、時間や場所を問わず業務を進められるため、夜間時間は海外から遠隔操作をするなど、工事期間の短縮や雇用の確保も期待される。
マクニカは今後もARAVとの協業で、システム全体の改善や小型化の検討を進め、幅広い建設業や物流業に提案を進め、課題解決への貢献を目指す。また、これまで現場での作業に困難があった方々にも就業の機会を創出するといった就業者人口の増加にもつなげていくとしている。
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