山間部の道路やダム工事、屋内の建築現場では、十分な通信を得られないケースが多く、建設現場のデジタル化を妨げる一因となっている。建設機器のレンタルを幅広く手掛けるアクティオは、建設現場の「ネットにつながらない」課題を解決すべく、約5000基もの衛星で日本中をカバーし、「当たり前にネットにつながる」通信環境の提供を開始する。
総合建設機械レンタル企業のアクティオは、「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)の初日、ソフトバンクと共同で提供を開始する法人向け低軌道衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business(スターリンク ビジネス)」の機材レンタル事業に関する発表会を開催した。
働き手不足や職人の高齢化、2024年問題などの多くの課題を抱える建設業界。業務の効率化を図るため、現場には施工管理アプリや業務自動化システムなど、多くのデジタルツールの導入が進んでいる。デジタル技術を十分に活用し、現場作業を遅滞なく進めるには、現場に安定的なネットワーク環境を構築することが不可欠となる。そこでアクティオが注目したのが、ソフトバンクが提供するStarlink Businessだ。
Starlink Businessは、スターリンク認定インテグレーターのソフトバンクが提供する法人企業や自治体のニーズに特化した衛星通信サービス。イーロン・マスク氏が創業した米SpaceXのスターリンク衛星ネットワークを利用し、アンテナを設置するだけで大容量のデータ転送も可能な高品質インターネット環境をどこにでも確保できる。2024年1月に発生した令和6(2024)年能登半島地震では、自治体や避難所などに無償提供し、被災して使用不能になった敷設固定回線(光回線網)に代わる被災地の通信環境をいち早く構築したことで話題になった。
記者発表会に登壇したアクティオ レンタルDX営業部 宗像亨氏は、Starlink Businessならば「当たり前にネットにつながる」環境を構築できるだけでなく、自社が取り扱うレンタル商材と組み合わせることで、さまざまな価値を創出できると自信を示す。
例えば、Starlink Businessの機材と、アクティオがレンタル提供する無線Wi-Fi端末と合わせることで、建設現場内で無線Wi-Fiが使える環境になる。
また、Starlink Businessは、携帯電波の届かない高層階や山間部でもネット回線を容易に構築可能なので、アクティオのWebカメラやウェアラブルカメラも併せて導入することで、これまで困難だった場所での遠隔臨場も実現する。
他にも、Starlink Businessを使って、ICT建機やロボットの遠隔操作による無人化施工の道も拓ける。
アクティオがレンタルするStarlink Businessの機材は、アンテナ本体、専用ルーター、電源ユニットなど。レンタル料金は月額4万8000円(税込み)で、別途ソフトバンクに支払う通信料金が発生する。レンタル開始にあたって、まずは50セット用意。将来は、移動オフィスカーなどとのパッケージ展開も検討している他、さらなる通信の利便性を高めるため、アクティオ独自の通信網構築も計画しているという。
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