鹿島建設が名古屋市中区で開発を進める中規模オフィスビル「名古屋伏見Kフロンティア」では、省エネ設計や環境配慮素材の調達などに取り組みにより、新築から解体までの工事に伴うCO2排出量を、基本設計段階と比較して35%削減したと発表した。
鹿島建設は2024年10月31日、名古屋市中区で開発を進める中規模オフィスビル「名古屋伏見Kフロンティア」において、省エネ設計や環境配慮素材の調達などに取り組み、新築から解体までの工事に伴うCO2排出量(エンボディドカーボン)を基本設計段階と比較して35%削減したと発表した。
鹿島建設は名古屋伏見Kフロンティアを、建築部材や設備機器の製造、運搬、施工、更新/修繕の各段階における合理的なCO2排出量削減プランを検討する実証モデルと位置付け、自社のCO2排出量削減ノウハウを活用しながら、低炭素材料の適用や最適な設備機器を選定した。
実施設計では、旧建物の地下躯体を山留として有効利用し、基礎杭や掘削、山留数量を削減するとともに、高効率な照明設備や空調設備の採用により省エネを図った。調達時には、CO2排出量が少ない高炉セメントコンクリートや自社独自の環境配慮型コンクリート(エコクリートR3 、エコクリートECM)の採用に加え、従来の高炉鋼材から電炉鋼材への一部置き換えを実施。
施工時には、廃食油などを原料とした軽油代替燃料の「Renewable Diesel」をフォークリフトの燃料に一部利用した他、鉄骨溶接作業の際の可搬式発電機燃料には、軽油に5%以下のバイオディーゼル燃料を混合した「B5軽油」を採用。使用する電力も再エネ由来に切り替えた。さらに、更新頻度が高いOAフロア材としてCO2排出量が少ない樹脂製を採用した他、個々の建材と設備機器の長期修繕計画に基づく更新/修繕プランを策定した。
CO2排出量算定にあたっては、ゴーレムと共同開発したCO2排出量算定システム「Carbon Foot Scope (カーボンフットスコープ)」を活用。実施設計時に算定したエンボディドカーボンは、基本設計段階と比べて35%削減(1平方メートル当たりのCO2e排出量は1.35トン削減)となり、自社が設定した2030年のサプライチェーン排出削減目標25%を上回った。
名古屋伏見Kフロンティアは、地上13階建て、敷地面積は2442平方メートル、延べ床面積は2万5811平方メートル。竣工は2025年10月を予定している。さまざまな環境施策により、「ZEB Ready」と建築環境総合性能評価システムCASBEEの最高ランク「CASBEE-建築 Sランク」、健康性/快適性の指標である「ウェルネスオフィス」の最高ランク「CASBEE-ウェルネスオフィス Sランク」について、第三者認証/評価を取得している。
鹿島建設は今後も、用途や規模を問わず、CO2排出量削減に向けた具体的な脱炭素プランを提案していく方針だ。
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