鹿島建設は、道路橋の床版取替工事に伴う交通規制を短縮する「スマート床版更新システム」を広島自動車道の1車線規制での実工事に初導入し、床版取替期間を約70%短縮した。
鹿島建設は2024年9月26日、道路橋の床版取替工事に伴う交通規制を大幅に短縮できる「スマート床版更新(SDR)システム」を、「広島自動車道(特定更新等)伴高架橋(上り線)他1橋床版取替工事」に幅員方向分割(二車線道路の場合、一車線規制)取替で初めて適用したと発表した。
標準工法では既設床版の撤去から新設床版の架設まで21日間(1日当たり3枚)かかるのが一般的とされる一連作業について、SDRシステムでは6日間(1日当たり平均10枚、最大20枚)と、期間を約70%短縮した。
SDRシステムは、既存床版の撤去、主桁ケレン(鋼桁の上フランジのケレンと防錆剤を塗布する作業)、高さ調整(硬質ゴムとソールスポンジを設置する作業)、新設床版の架設)の各工程で、それぞれの専門班が各エリアで同時並行で作業を行う施工システムだ。
2019年と2022年に実施した実物大総合実証実験では、門型クレーン1台を用いて床版を取りかえる標準的な工法と比べて、床版取替期間は全断面取替で約6分の1(83%)、幅員方向分割取替で約10分の1(90%)に短縮できた。
今回の適用は、床版取替工事の一期工事(2024年5〜6月まで)の追越車線側122.1メートルで実施した。2024年9月からの二期工事では走行車線の施工を行う予定だ。鹿島建設は、今回の一期工事で得られた知見を生かし、今後も安定した期間短縮効果が得られるようSDRシステムの改良を重ね、道路橋更新工事に伴うソーシャルロスの最小化を目指す。
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