「TREND ROAD Designer」は、道路設計に特化した3DCADソフトウェアだ。米ベントレー・システムズの「OpenRoads Designer」をベースとしているが、日本の道路設計のために国内の法令や基準に準拠するように、独自の改良が加えられている。
福井コンピュータは「「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)で、CIM道路設計3DCADシステム「TREND ROAD Designer(トレンドロードデザイナー、TRD)」の特徴を紹介するデモを行った。TRDは、米Bentley Systems(ベントレー・システムズ)の製品をベースにしているが、日本の法令に適合している。
TRDは道路の設計に特化した3DCADソフトで、動的標準の断面や土木セル、3D排水検討の3つの特徴を備えている。ブースには広いプレゼンテーション用のステージを用意し、3つの特徴を紹介するデモを複数回行った。
動的標準断面や土木セル、3D排水検討の機能は、道路以外の河川、水路/擁壁などの線形構造物の設計にも活用できる。また、交差点や宅地造成など、面的構造物の設計にも使え、設計業務を約20%効率化するという。
動的標準断面は、TDRの「断面を切らない」という特徴に言い表せる。多くの2Dベースの設計ソフトは、測点や変化点を断面とし、その断面をつないで3Dのモデルを作成する。TRDは作成した標準的な断面と線形を組み合わせ、自動的に3Dモデルを作成し、最終的に任意のポイントで切ることで、縦断/横断を可能にしている。
土地形状に応じて標準断面を変化させて、自動的に3Dモデルが作成でき、線形を変更すれば自動的に3Dモデルも変更される。そのため、複数線形の検討が容易になる。
デモでは、2Dの環境で処理していた水路の設計をTRDで再現した例と、片勾配がある場所で建築限界をモデル化する例を説明した。
TRDは、“線同士が3D的に関係を維持する”特徴を持っている。この特徴により、例えば交差点の設計で停止線の位置を変更すると、関係するテーパー長やシフト長といった要素も連動して自動変更される。図面上で一部だけを変えれば、他の箇所も修正されるので、図面の書き直しが最小の労力で行える。
こうした要素同士の関係性をテンプレートとして登録でき、それが土木セルと呼んでいる。ユーザーが作成してテンプレートして登録した土木セルは、他の現場でも使えるため、設計効率を大幅に高められる。
3D排水検討は、2024年7月にリリース予定の機能だ。TRDを使った3Dの計画モデル上で、そのまま排水計画も検討可能にし、流域の分析後、集水桝や流出口を設定したり、側溝を配置したりできる。他にも、暗渠の配置、集水桝の泥溜確保、降雨量にも配慮した上で、排水ネットワークの計画検討に使える。
さらに、3D排水検討の機能では降雨量や各種の設計制約などを変更して、シミュレーションも可能だ。もし、解析で問題があれば、その内容をリストが表示されるため、トライアンドエラーが無駄なく行える。他にも水理縦断図の作成や排水モデルの出力にも応じる。
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