iPhone/iPadで現場の点群取得、ニコン・トリンブルの手持ち3Dスキャナーに新機能xR

ニコン・トリンブルは、手持ち3Dスキャナー「Trimble SiteVision」の最新バージョンをリリースした。新たにiPhone搭載のLiDARスキャンに対応し、手軽に3Dスキャニングして、高精度位置情報も含む3D点群が取得できる。

» 2024年05月28日 08時00分 公開
[BUILT]

 ニコン・トリンブルは2024年5月13日、LiDARスキャン機能に対応し、簡易3Dスキャニングが可能な「Trimble SiteVision(トリンブル サイトビジョン) Version 5.0」をリリースした。

LiDARスキャナー対応で簡易3Dスキャニングに対応

LiDARスキャン機能に対応した「Trimble SiteVision Version 5.0」 LiDARスキャン機能に対応した「Trimble SiteVision Version 5.0」 出典:ニコン・トリンブルプレスリリース

 Trimble SiteVisionは、モバイル端末の画面越しに3次元モデルと現実の風景とを重ねて視認するハンディスキャナータイプの屋外ARシステム。設計データを現場に“視える化”し、頭の中で建物の出来上がり状態を想像する必要がなく、誰もが同じイメージを共有する。施工イメージを誰でもつかめるので、発注者や現場作業者への説明、住民説明会などもスムーズに行える。他にも、建設する構造物や重機、立体交差の干渉チェックなど、図面だけでは確認が難しい詳細部分も、モデルを現場に重ね合わせることで簡単に問題点が把握できる。

Trimble SiteVision Poleタイプ Trimble SiteVision Poleタイプ 出典:ニコン・トリンブルプレスリリース

 最新のVersion 5.0では、iPhone 12 Pro以降やiPad Proといったスマートデバイスに搭載されたLiDARスキャン機能を利用して、3D点群データを取得できるようになった。取得した点群にはGNSS(VRS-RTK)受信機で取得した世界測地座標が同時に記録されるため、後処理で点群に座標を関連付ける手間が省ける。そのため、初めて3D点群を観測する人にとっては、手軽かつコストを抑えて導入できるハンディスキャナーとなる。

 想定する用途は、1000立法メートル以下の小規模土工施工管理をはじめ、毎日の土量算出、精度をそれほど必要としない小規模な3次元測量など。

 また、地下配管の3次元モデルを表示すれば、工事前に埋設物を確認し、施工時の事故も防げる。また、クラウドサービス「Trimble Connect」で、SiteVisionと事務所をつなげば、図面修正の際も現場にいながら事務所で修正データをチェックできる。Web会議システムとの連携で、SiteVisionの画面をオフィスで映す遠隔臨場も可能となり、移動に掛かる交通費削減や交通トラブルの回避につながる。

「Trimble SiteVision Ver.5.0」で取得した点群 「Trimble SiteVision Ver.5.0」で取得した点群 出典:ニコン・トリンブルプレスリリース

 国交省のBIM/CIM原則適用では、業務・工事ごとに発注者が活用目的を明確にし、受注者が3次元モデルを作成。活用目的の設定では、業務や工事の特性に応じて、義務項目や推奨項目から発注者自身が選択する。

 このうち義務項目は、「視覚化による効果」を中心に未経験者も取り組める内容で、原則全ての詳細設計や工事で、発注者が明確にした活用目的に基づき、受注者が3次元モデルを活用する。

 推奨項目は、「視覚化による効果」の他、「3次元モデルによる解析」などの高度な項目を含み、受注者が1個以上の項目に取り組むことを目指す。

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