奥村組とシステム計画研究所は、山岳トンネル工事で切羽からの岩石落下による災害を防止するため、落下の予兆を警告する「肌落ち監視システム」を開発した。目視では確認が難しい鏡吹付けコンクリートのひび割れ変状を86%以上の精度で検出する。
奥村組とソフトウェア開発会社のシステム計画研究所は2024年4月9日、山岳トンネル工事の切羽での岩石落下(肌落ち)による災害防止を目的に、肌落ちの予兆を警告する「肌落ち監視システム」を開発したと発表した。目視では確認が難しい鏡吹付けコンクリートのひび割れ変状をAIで検出し、切羽監視責任者の監視を補助する。
肌落ち監視システムは、作業中にカメラで撮影した切羽画像から、鏡吹付けコンクリートに発生したひび割れをAIで検出し、肌落ちの予兆を知らせる。AIモデルは、吹付けコンクリート供試体や鏡吹付けコンクリートなどのひび割れ画像を教師データとして作成し、86%以上の精度でひび割れを検出する。
奥村組は、肌落ち監視システムを、長崎県が発注した主要地方道厳原豆酘美津島線道路改良工事((仮称)箕形トンネル)に適用、施行した。その結果、切羽監視責任者が切羽に極力接近することなく、40〜60秒程度でひび割れ検出結果を表示し、肌落ち監視の補助システムとしての有効性を確認した。今後は積極的に現場へ展開し、システムの高度化に向けた検討課題の抽出や改善を進める。
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