不動産管理会社は基本的に、原状回復工事の施工会社を固定化した数社しか確保できておらず、最適な工事費と期間で発注することが難しい。工事費用を無理に上げないと工事会社を集められなかったり、依頼に時間がかかって工期が長くなったりしてしまう。その点、おまかせプランに登録している約50社の施工会社は頼もしい存在となる。「施工会社が約50社あれば、急な住人退去による立会いでも、誰かしら見つかり、その分だけ手続きがスムーズに進む」(石見氏)。イタンジが間に入り、施工会社に安定して工事案件を紹介することで、他より安く適正な工事費に抑えられるため、工期だけでなくコストの改善も見込める。
イタンジでは、原状回復の工事を行う施工会社をパートナーと位置付け、質の高い工事につながる取り組みも行っている。
立会いの連絡や工事期間では、「○○営業日以内」という基準を設けている。また、工事完了後には、管理会社に対してアンケートを実施し、工事の評価と改善点などを施工会社にフィードバックし、自発的な改善を促している。
今後も、原状回復工事に対応する施工会社には門戸を開いており、イタンジのWebサイトで新規パートナーを受け付けている。もちろん前提としてパートナーとなる時点で、一定の基準を満たしていることは確認し、その上で工事を重ねる中で問題点があれば見直しを求めるなどして、サービス全体の品質を担保している。
内装工事くんや今回紹介したおまかせプランは、不動産管理の内装工事に特化したサービスだが、イタンジでは不動産賃貸のワンストップサービスとしてプラットフォーム「ITANDI BB」「ITANDI BB+」で、不動産の物件管理から、内見、契約、更新退去、原状回復、賃貸管理までの不動産賃貸プロセス全体をカバーしている。
各サービスは、反響来店「nomad cloud」、物件確認「ぶっかくん」、内見予約「内見予約くん」、「申込受付くん」、「電子契約くん」、「更新退去くん」、「ITANDI管理クラウド」、そして内装工事くんがあり、仲介をするリーシング業務と不動産を管理する管理業務が抱えるそれぞれの課題解決に対応する。例えば、更新退去くんで退去日などの登録情報が、そのまま内装工事くんに引き継がれ、ワンクリックで工事発注や工事完了の把握すると、その後、次の入居者の内見調整も容易になり、空き室期間の短縮にもなる。石見氏は、「それぞれの業務の情報がシームレスにつながり、一気通貫で賃貸に関する全ての業務が完結するサービスを目指していきたい」と期待を語った。
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