賃貸管理の「退去立会」と「原状回復」を“丸投げ可” IT化の不足を補うイタンジの代行サービス不動産テック(1/3 ページ)

イタンジは、2023年1月から賃貸物件の退去時に発生する原状回復工事の発注や管理を行う「内装工事くんおまかせプラン」を提供している。内装工事くんおまかせプランは、「内装工事くん」のサービス内容を拡充し、退去立会いや工事手配、案件管理などの業務サイクル全体をパッケージ化して、物件管理会社の負荷を大幅に削減する不動産テックとして注目を集めている。

» 2024年06月03日 09時12分 公開

 賃貸物件は、退去時の立会いや原状回復工事に伴う工事会社の手配や見積もりが必ず生じるが、不動産管理会社にとってかなりの負担となっている。イタンジが提供する「内装工事くんおまかせプラン(以下、おまかせプラン)」は、こうした煩雑な業務を“丸投げ”できるサービス。イタンジ 経営企画 マネージャー 石見(いわみ)淳太郎氏に、不動産テックで不動産業務全体のペーパーレス化や効率化を目指す、イタンジWebサービスの他に無い特徴を聞いた。

退去受付から、業者調整、オーナー報告まで、工数6割削減する「内装工事くん」

イタンジ 経営企画 マネージャー 石見淳太郎氏 イタンジ 経営企画 マネージャー 石見淳太郎氏 撮影:石原忍

 不動産の賃貸物件を扱う会社では、空き物件の検索から、内見予約、契約といったリーシング業務といわれる仲介業務が発生する。契約を交わした後にも、更新、退去、原状回復といった管理業務が不可欠だ。だが、どちらも依然として紙や電話、FAXでのコミュニケーションが多く残っている。

 そこでイタンジは、不動産業務を効率化すべく、Web上で各種業務が完結するSaaSを提供している。賃貸物件の管理や仲介を行う会社にとっては、業務負荷が大幅に減り、資金やマンパワーといったリソースを有効に活用できるようになる。

イタンジが提供する不動産関連の各種サービス イタンジが提供する不動産関連の各種サービス 提供:イタンジ

 おまかせプランは、もともとある「内装工事くん」のサービスを拡充し、2023年1月からスタートしたアウトソーシングサービス。そもそもの内装工事くんは、それまでリーシング業務向けの顧客管理システムや内見予約、契約まわりしかなかったSaaSを、入居以降の管理業務にも広げる目的で、2022年8月から提供した。賃貸物件の管理会社と施工会社の間で、原状回復工事に関する各種のやりとり(発注、見積、写真確認、チャットなど)を一元管理する。既に東京や神奈川、千葉、埼玉、大阪で、約700社の管理会社を中心に導入されている。

 内装工事くんの流れとしては、まず入居者がスマートフォンで物件の解約を申し込むと、管理画面に退去の申請があった旨の通知が届く。内装工事くんに連携を選ぶと、解約日確認で入居者へメールを自動送信し、立合依頼のステータスでは、登録されている業者を選択して、物件名や立合希望日時などを入力する。立合後には、工事会社から写真付きの報告書と工事費用の見積もりがアップロードされ、細かい工事内容や工事費の調整などはチャットでやりとりする。オーナーに提案する見積もりでは、1.2倍に上乗せなど単価の一括変更や項目調整も可能で、工事完了後には写真付きの報告書を閲覧して確認できる。

既存の内装工事くんの流れ。入居者からの解約申し込みを内装工事くんに連携(左)、立合後の写真付き報告書と見積もり(右) 提供:イタンジ
工事会社とのチャット連絡(左)、報告書の確認(右) 提供:イタンジ

 導入効果は、60%以上の工数を削減し、メールや電話の使用頻度は4分の1に減った。さらに、工事の手直し発生率(是正率)で約38%減、平均工期も約半減、1件あたりの平均費用も約27.8%低減し、Quality(品質)/Delivery(工期)/Cost(費用)で高い成果が得られたという。

内装工事くんと内装工事くんおまかせプランの違い 内装工事くんの一連の流れ 提供:イタンジ
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