川原氏は、日本のAI受容の現状について、OpenAIが2022年11月30日に公開して以来、日本ではChatGPTを比較的好意的に受け止めており、ChatGPTをはじめとする生成AIやLLMを研究や業務にどのように活用すればよいかという議論も積極的に行われていると評価した。
将来、建設分野での活用については、パース作成やレンダリングなどを担うことで図面作成の手間を省いたり、施工時に重機を自動コントロールするなどして作業を効率化し、工期短縮につなげたりできる可能性はある。だが、川原氏は、全てを任せようとするのは間違いだとし、「現在、設計・施工プロセスにかけている時間は、安全性を担保しながら、ひとつずつ積み上げるための欠かせない時間という側面もある」と話す。
同時に、建設分野でもAI専門人材の育成が必須だという。建築用のLLMやロボットを制御する大規模基盤モデルは、「おそらくChatGPTとは違うものになるはず。新しい技術の研究や開発に果敢にチャレンジして、率いてくれるような人物の登場が待たれる」と見解を示した。
最後に今後の建設分野でAI活用を広げるには、AIを積極的に使いながら、そこで明らかになった課題や要望を情報学系の研究者と共有できる関係性の構築も大切だと要望し、講演を結んだ。
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