イクシスと前田建設工業は、複数台の油圧ショベルの自律運転による自動施工管理システムを開発し、日立建機とともに実用性を確認した。
イクシスは2024年3月25日、前田建設工業と共同で、施工計画から指示、管理、実行までを一元管理する自動施工管理システムを開発したと発表した。日立建機を加えた3社で実証試験を行い、自動生成された作業計画モデルをもとに、1人のオペレーターによる複数台の油圧ショベルの自律施工ができることを確認した。
新システムは、BIM/CIMデータの仮想空間(サイバー空間)と現実空間(フィジカル空間)が連動するデジタルツインを構築。BIM/CIMの施工計画モデルから、油圧ショベルの作業内容を具体化した詳細な作業計画モデルを自動生成し、複数台の油圧ショベルを自律制御する。
施工計画は、工程の進捗に応じて段階的に油圧ショベルに提供する。また、複数の3次元LiDARで計測した施工範囲の掘削状況や油圧ショベルの状態をリアルタイムで可視化するため、オペレーターは遠隔からでも監視、操縦が可能だ。
デジタルツインの実装では、イクシスが開発した3次元ビュワー「iXs MetaViewer」を導入し、短期間での開発を実現した。点群やBIM/CIM、建設施工現場に存在する建設機械などのオブジェクトを、Webブラウザでリアルタイム表示できるのが特徴だ。
この他、イクシスのIoTネットワークカメラ「GENBA-Monitor」と独自開発のビュワーも活用している。油圧ショベルの車載カメラや、試験場の周囲に複数台設置したカメラの映像を、ネットワーク回線を通じて遠隔から一元管理が可能だ。
今回、3社は自動施工管理システムを活用し、1人のオペレーターが複数台の油圧ショベルを操作する実証試験を、茨城県取手市にある前田建設工業のICI総合センターで行った。
実証にあたっては、計画から指示/管理、実行の機能を、各社が分担してシステムを開発。汎用的なインタフェースを経由して、それぞれが連携するよう構築した。
今回の実証で、自動施工管理システムの実用性が確認できたことから、3社は少人数のオペレーターによる複数台の油圧ショベルの自律施工が可能で、1人当たりの生産性向上が期待できるとしている。今後は油圧ショベル以外にも、運搬、敷均し、締固めなどの自律施工機械システムやさまざまな建設現場へ適用し、さらなる生産性向上につなげたい考えだ。
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