西松建設は、アサヒ飲料との協業で、製造過程のCO2排出量がマイナスとなるコンクリートの開発に着手した。十分な強度を有するコンクリート材料となることを確認し、実施工への適用に向けて試験を重ねる。
西松建設は2024年3月6日、アサヒ飲料とともに、製造過程でCO2排出量がマイナスとなるコンクリートの開発に着手したと発表した。製造工程では、アサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」を用い、大気中のCO2を吸収した特殊材を活用し、コンクリートに練り混ぜ、CO2排出量がマイナスとなるカーボンネガティブなコンクリートを実現する。
今回の協業は、アサヒ飲料が2023年6月から始めた自動販売機を活用したCO2の資源循環モデル構築に向けた実証実験の一環となる。大気中のCO2を自動販売機で吸収し、工業原料化する国内初の取り組み。これまでは、回収したCO2をどのように貯留/固定化するかが、課題だった。
日本国内での生コンクリートの年間出荷量は2022年度で約7500万立法メートルといわれている。例えば、その内の0.1%を開発中のコンクリートに置き換えるだけで、年間27万本の杉の木と同等のCO2削減効果を期待でき、森林の広さでは東京ドーム約77個分に相当する。
コンクリートは、大気中のCO2を吸収した特殊材をコンクリート1立法メートルあたり約200キロ以上混和して、特殊材をコンクリートに固定化し、製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末をセメントの代替原料として多量に使用する。
その結果、一般的なコンクリートと比べて強度を低下させることなくコンクリートを製造することが可能で、実施工に適用可能な強度を問題なく発揮することができた。そのため、CO2排出量がマイナスとなる環境にやさしいカーボンネガティブなコンクリートが実現する。
今後は、環境にやさしいカーボンネガティブなコンクリートの社会実装に向けて、今後もアサヒ飲料とともに、長期的な耐久性の確認や実現場適用に向けて試験を重ね、実用化の推進を図り、脱炭素化社会に貢献していく。
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