BSIグループジャパンは、スターツCAMに設計・施工業者としてアジア初となる「PAS 2080」に基づくカーボンマネジメントの認証を授与した。PAS 2080は、建設物やインフラストラクチャを対象としたカーボンマネジメントのガイドライン。建設業界に特化した国際的なカーボンマネジメント基準の認証を受けることで、施主などに対する透明性の確保につながる。
BSIグループジャパンは2024年2月9日、スターツCAMに対し、「PAS 2080:2023」に基づいたカーボンマネジメントの取り組みを認証した。
PAS(公開仕様書)は、BSIが独自に発行する標準化文書で、企業内の業務標準化や業界内の標準指針として活用されている。
PAS 2080は、建設やインフラのプロジェクトで炭素排出を削減し、環境への影響を最小限に抑えるための方向性を示している。多くの国や地域で、建設業の脱炭素化や環境に配慮した取り組みに注目が集まる中、PAS 2080は建設プロジェクトがよりサステナブルで環境に配慮した方向性を導くとの期待から、関心が高まっている。
スターツCAMのPAS 2080認証取得は、設計・施工者として取り組むカーボンマネジメントのビジョンや明確な方向性、炭素削減に向けた具体的な活動が国際基準に沿っていると証明されたことになる。
スターツCAMは、GHG排出量はサプライチェーンを考慮すると、建設業が日本全体の排出量の多くを占めるため、早急に取り組みを加速することが重要と認識している。GHG排出量の把握や削減目標の設定、削減に向けた活動を進める上で、建設業界に特化した国際的な基準に準じたマネジメントシステムを構築すれば、ステークホルダーに対する透明性を確保するとともに、社員への浸透も図れると企図し、PAS 2080に取り組んだという。
認証取得までには、「日本の建設業に当てはめて考えること、要求事項が抽象的かつ英語ということもあり、解釈に困る部分があり苦労したが、解消するため、GAP分析などを利用して相互理解に努めた。もともと、環境対策の視点から行っていたことを改めて、CO2に焦点を当てて考え、要求事項のそれぞれを通常の業務に当てはめて対応するのに苦労した。そこで、カーボンマネジメントマニュアルとガイドラインを作成し、さらなる社内浸透を図る工夫をした」とコメント。
BSIジャパン 代表取締役社長 漆原将樹氏は、「ZEBやZEHなど環境へ配慮した住宅の普及に取り組まれているスターツCAM。今回のPAS 2080認証取得は、温室効果ガスの排出量削減への取り組みが加速する建設業界の中でも、先端を行く革新的なものだ」と評価する。
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