帝国データバンクは人手不足に対する企業の最新動向を公表した。建設業では人手不足を実感している企業が約7割で、前回調査から3.6ポイント上昇し、深刻さが増している状況が浮き彫りになった。
帝国データバンクは2024年2月26日、人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月時点)の結果を公表した。いわゆる「2024年問題」対応が懸念されている建設業では、「不足」と感じている企業が約7割(69.2%)で、2023年1月に実施した前回調査から3.6ポイント上昇した。
調査によると、正社員が「不足」と感じている企業は全業種のうち52.6%で、前年同月に比べて0.9ポイント上昇した。1月の記録としては最も高かった2019年(53.0%)に次ぐ高水準だった。
正社員の人手不足割合を業種別でみると、最も高かったのは主にIT企業を指す「情報サービス」で、77.0%と過去最高を更新した。建設業は2000年以降に増加傾向が続いており、改善傾向は見られなかった。
建設業では労働力不足の深刻化と、それによる機能の行き詰まりが懸念される「2024年問題」への対応が求められている。残業の上限規制が始まる2024年4月以降は、人手不足がさらに深刻化すると予想されているが、既に7割に近い企業が人手不足に陥っていることが分かった。
2024年度における正社員の「賃上げ」について聞いたところ、人手不足を感じている企業の65.9%が「実施見込み」と回答し、賃上げに積極的である傾向がみられた。一方で、企業からは「大手を中心にベースアップが相次いでいるが、中小企業には逆風」(鉄骨工事)など、賃上げの実施に難しさを感じている声が多く聞かれた。
なお、2024年の「賃上げ」傾向については、例年より色濃く表れた2023年から引き続きトレンドが継続すると同調査は予想している。
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