建設業の倒産に、歯止めが掛からない状態が続いている。8月までの累計で1000件を突破し、年内の倒産件数は1600件を超え、過去5年で最多となる見通しだ。その要因には、建材費の高騰に加え、コロナ前を上回る深刻な人手不足があるという。
帝国データバンクは2023年9月10日、「建設業」の倒産発生状況を調査し、分析レポートを公表した。
2023年に発生した建設業の倒産は、8月までに1082件発生。既に2022年通年の件数(1204件)に迫る他、8月までの累計で1000件を突破したのは、2017年以来6年ぶりとなった。
また、6月は単月で160件に達し、2014年10月以来、約9年ぶりの高水準。このままのペースで推移すれば、年内の建設業倒産は1600件を超え、過去5年で最多となることが確実となった。
倒産の要因は、引き続き「物価高」の影響が続く。2022年に比べると価格の上昇は穏やかなものの、鉄骨や木材などの建設資材価格の上昇が止まらず、建設業倒産のうち物価高が要因となったものは最大で2割に迫った。
さらに、近時は職人の高齢化に加え、若手や新卒人材の応募が少ないなど、人材不足が目立ち、給与に不満を持つ建築士や施工管理者など業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職や独立により、工事の受注や施工そのものが、ままならなくなった中小建設業者の倒産が表れたという。
帝国データバンクの調査では、建設業の約7割で「人手が不足している」状態で、うち5%の企業では「非常に不足している」状況にあり、コロナ前の2019年を上回るなど、物価高以上に職人不足の影響が建設現場で深刻化。足元では、2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されるため、人手不足がいま以上に深刻化するとみられる。都市部の大規模再開発などに職人が「引き抜かれる」ケースが増えるなか、地方では業者の淘汰や人手不足により、「家が建てられない」「道路の修繕が進まない」といった事態が多発する可能性が高まっていると予測している。
集計期間:2023年8月31日迄
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:帝国データバンク
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