帝国データバンクは、2023年に発生した建設業者の倒産件数が前年比で4割増加し、1671件になったと発表した。1600件を超えるのは8年ぶりで、増加率が3割を超えるのは2000年以降で初めて。「2024年問題」で今後さらに倒産が増加する可能性があるとの見方を示した。
帝国データバンクは2024年1月10日、2023年に発生した建設業者の倒産件数は1671件(前年比38.8%増)だったと発表した。1600件を超えるのは8年ぶりで、増加率が3割以上となったのは2000年以降で初めて。倒産件数増加の背景には建設資材の高騰や人手不足を要因とした建設コストの上昇があり、「2024年問題」で今後さらに倒産が増加する可能性があるとの見方を示した。
負債総額は前年比52.5%増の1856億7800万円となった。大手パチンコチェーン「ガイア」グループで店舗建設を担っていた、MG建設(負債214億5000万円)とガイア・ビルド(同155億1600万円)の2件が全体を押し上げた。2社を除くと1件当たりの平均負債額は8900万円で、小規模業者の倒産が中心だった。
倒産件数の急増について、帝国データバンクは「コロナ禍で政策的に抑制されていた倒産の揺り戻しとみられる」と指摘する。さらに、急激な業者数の減少で進行中の案件が停滞、先送りとなる可能性もあり、地域経済への影響も懸念されるとした。
建設コストが上昇する一方で、施主への価格交渉が難航するなど、請負単価には十分に反映されていない。また、人手不足は工期の延長につながり、完工が遅れることで元請け業者からの支払いも延期され、下請け業者や孫請け業者の資金繰りに影響しているという。受注は確保できていても支払い先行で手元現金がショートする黒字倒産も見られた。
建設業界では価格転嫁や工期適正化の取り組みが進んでいるものの、下請け業者への浸透には時間がかかる可能性もある。帝国データバンクでは今後、さらなる建設コストの上昇や倒産の増加も予想されるとした。
なお、地域別にみると、北海道では前年比210%増の62件、九州では過去10年で最多件数の158件(前年比50.5%増)が倒産した。
北海道では戸建てを中心に資材価格の上昇で販売価格が高騰し、建売住宅の在庫が滞留。小規模事業者を中心に倒産が増加した。九州は福岡市中心の大型再開発プロジェクトや熊本の半導体関連投資などの案件が活発化している一方、仕入れや人手確保に伴うキャッシュアウトが先行し資金繰りがショートするケースも多かった。
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