大規模建設現場を中心に自律型の巡回監視ロボットの導入が進んでいるが、ルートを設定するための環境地図の作成がハードルとなっている。その点、イクシスのロボット制御システム「i-Con Walker」は、BIM/CIMの情報を地図として用いるため、不可欠だった現場の事前マッピングが不要で、巡回ロボットを即座に現場に投入できる。
イクシスは「第8回 国際 建設・測量展(CSPI2026)」(会期:2026年6月17〜20日、幕張メッセ)で、現場を巡回して各種の情報を自動取得するロボットと、ロボット制御システム「i-Con Walker(アイコンウォーカー)」を展示した。
i-Con Walkerの最大の特徴は、自律移動ロボットの運用で最も手間のかかる事前マッピングをスキップできる点にある。
通常は、ロボットを現地に持ち込み、実際に走行させて周囲の環境データを取得する。あらかじめデジタルマップを作成しないと、ロボットが現場の空間を認識できない。
i-Con Walkerで地図の代わりとなるのが、設計段階で作成するBIM/CIMデータだ。現場の事前マッピングが不要となり、現地にロボットを持ち込んですぐに使えるようになる
大規模建築物ではBIM/CIM活用が進んでいるため、既にある設計BIM/CIMデータを転用すれば、巡回ロボットをスムーズに導入できる。現地で事前準備を最小限に抑えられることは、時間とコストが限られた建設現場でロボット活用の普及にもつながる。
対象となるロボットは、屋内用ホイールタイプの「iWs16」、不整地にも対応する屋外用クローラーを備えた「iTs10」などをラインアップし、運用シーンや目的に応じて選べる。
i-Con Walkerが提供するのは、移動の自動化にとどまらない。BIM/CIMデータと密接に連携し、よりインテリジェントな指令とデータ管理が実現する。
多くのロボットへの自律移動の指示は、主に座標(X/Y)を指定する形だ。i-Con Walkerでは、BIM/CIMモデルから「このオブジェクトを計測せよ」という具体的な指令を与えると、ロボットは指定した対象物に向かって走行し、搭載したカメラやセンサーで必要なデータを取得する。
画期的なのは、取得したデータのフィードバック機能だ。カメラで撮影した写真やセンサーで計測したデータが、BIM/CIMモデルの該当オブジェクトへ紐(ひも)付けて保存される。自動化されているため、担当者の負荷が増えることはない。また、場所ごとに実行するタスクを設定し、日々の巡回で得たデータを履歴として保存することもできる。日々の進捗確認や出来形管理、経年劣化の追跡などが、BIM/CIMモデル上で視覚的かつ体系的に可能になる。
i-Con Walkerは既に現場で稼働しており、具体的な成果を上げている。その好例が、施工後の「風量検査」での活用だ。
建物の引き渡し前に行う風量計測は、作業員が広い現場内の多数の計測ポイントを回り、手作業で計測器を掲げて数値を記録する多大な労力を要する業務だ。
i-Con Walkerの活用では、ロボット背面に上下に伸縮する昇降機構を取り付け、その先端に計測機を設置する。ロボットはあらかじめ設定された計測ポイントへ自律移動し、到着すると自動でポールを伸ばして規定の高さで計測する。計測が終わると次のポイントへ移動し、繰り返して現場全体のデータを取得する。計測器を持って移動し続ける必要がなくなり、ロボットがバックヤードから出て、広範囲の計測を完遂して戻ってくるまでの時間を別の作業に当てられる。
イクシスではi-Con Walker以外にも、インフラ現場のITを支援する「現場シリーズ」を主力商品として展開している。スマートフォンを使って土量を測定する「GENBA-Scan」、コンクリートの締固め状況をAR化する「AR締固め管理システム」、現場状況を360度ビューで見られる「GENBA-Explorer」などをそろえている。
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