帝国データバンクは、企業のインボイス制度への対応状況や懸念事項についてのアンケート調査結果を発表した。65.1%がインボイス制度に順調に対応できているとした一方で、91.0%が導入による懸念事項があると答えている。
帝国データバンクは2023年10月13日、企業におけるインボイス制度への対応状況や懸念事項についてのアンケート調査結果を発表した。
調査は、帝国データバンクが2023年10月6日から11日にかけてインターネットで実施し、有効回答企業数は1494社。
2023年10月1日にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応状況では、「順調に対応できている」が65.1%。「対応がやや遅れている」は28.5%、「対応が大幅に遅れている」は3.1%となった。
「順調に対応できている」企業の割合は、「大企業」が71.5%だったのに対し、「中小企業」は64.2%。「対応がやや遅れている」企業の割合は、「大企業」の24.4%に対して「中小企業」が29.1%となっている。大企業に比べて、中小企業で対応が遅れている状況がうかがえる。
インボイス制度の導入による懸念事項の有無に関しては、「懸念事項あり」と回答した企業が91.0%に上った。
懸念事項の内容としては、「業務負担の増加(他業務への影響含む)」が71.5%で最多。次いで「社内での理解・連携不足」が51.0%、「仕入先への対応」が50.1%だった。
帝国データバンクは、「インボイス制度へ順調に対応できていると回答した企業は65.1%となり、おおむねね順調だと分かった。しかし、インボイス制度の導入に懸念を抱えている企業は9割にのぼり、現在や先行きについて多くの企業で不安を抱えている結果だった。これまでとは異なる方式で行われるため、経理事務の負担が大幅に増すという回答が最も多かった。公正取引委員会は、今回の制度導入で大きな影響を受ける免税事業者に対し、課税事業所が一方的な取引価格の引き下げや取引中止などをした場合は独占禁止法違反の恐れがあると注意を促しているものの、取引きをどう見直すか困惑する様子もうかがえた」とコメント。
また、「2024年1月からは、新たに改正電子帳簿保存法の対応も必要になるため、事務の負担が重くなるとも言われ、インボイス制度が定着するには今しばらく時間を要するであろう。他にも、インボイス制度に対応するなかで企業の不安や混乱が深まるケースが出てくることも十分に予想され、課題解決に向けたサポートに加え、デジタル化の推進につながる仕組みづくりが急がれる」と分析する
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.