戸田建設は、オフィスで人の歩行や車両の走行で生じる振動を抑制する薄型の床用制振装置を開発した。今後、同社は、今回の装置が新築・既存の建物を問わずさまざまな建物に適用できる利点を生かし、戸田建設の施工物件への適用を進めるとともに外販を行う。
戸田建設は、オフィスなどで、人の歩行や車両の通行によって発生する不快な振動を抑える薄型の床用制振装置を開発したことを2021年3月12日に発表した。
一部のオフィスでは、人の歩行や屋外の車両通行による不快な振動が日常的に発生し、業務に影響を与えている。こうした不快な振動を抑制する技術としては、アクチュエータで錘(おもり)を電気的に制御し、揺れを打ち消す制振装置「AMD(Active Mass Damper)」が用いられている。
しかし、従来のAMDは、高さが約70センチと大きく、効果が最も発揮される床の中央に設置しようとすると空間の使用性を損ねてしまうという課題があった。
解決策として、戸田建設は薄型の床用制振装置を開発した。薄型の床用制振装置は、精密機器の位置決めなどに利用される小型のアクチュエータをAMDに搭載し、従来品と比較して、10分の1以下となる高さ約6.5センチを実現したもので、OAフロア下に収納でき、部屋のスペースやレイアウトを気にすることなく取り付けられる。
また、床スラブにアンカー固定するだけの簡単な施工で、新築・既存建物を問わず設置が可能だ。さらに、床の振動に応じた電気的な制御のため、多様な性状の振動に対応する。今回開発した制振装置の性能を調べるために、戸田建設は、実大規模の性能確認実験を行い、優れた振動抑制効果を確認している。
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