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» 2020年12月22日 10時00分 公開

【第12回】「設計BIM全社移行を実現する社内教育の秘訣!Webインターンシップ」BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(12)(3/3 ページ)

[伊藤久晴(大和ハウス工業 技術本部 建設デジタル推進部 次長),BUILT]
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Webインターンシップのアンケート結果について

 ではWebインターンシップのアンケート結果を見てみよう。アンケートは11人の参加者に回答してもらった。「非常にためになった」「ためになった」「普通」「あまりためにならなかった」「全くためにならなかった」の5段階で感想を聞き、順番に5点〜1点の点数を付けて、人数で割ったものが下記の評価点となる。下記のように、演習の内容、当社の取り組み、総合評価とも、とても満足度が高い結果となった。

Webインターンシップの評価

 アンケートの中で、多くのコメントを寄せていただいたが、その一部を紹介する。

■Webインターンシップ全体の感想

  • 膨大なBIMのデータを管理するなかでISO、CDEを活用することで正しい情報、最新の情報を明確にし、施工のミスや生産性の向上につながり品質の高いものを提供できることが分かり勉強になりました。

  • BIMを通じた設計業務を初めて体験しました。設計から構造へ指摘するように、それぞれの連携が密に取れるのは、全体としてBIMに取り組んでいるおかげだと思いました。また、このワークショップでBIMが普及していることが分かりました。

  • 想像していたよりもBIMの活用方法が画期的で、CDEの仕組みがよくできていて、驚きました。またBIMの導入により業務の効率化が実現しており、時間短縮につながっていることに魅力を感じました。特に、災害復興住宅の提案をあんなに短期間で実現できたということに驚き、強く印象に残っています。

■権限・承認フロー演習の感想

  • 権限設定ではここまでかというくらい細かい設定ができ、共同の際のミスを大幅に減少させることができると思いました。承認フローでは時間や空間を超えて共同できるので、これからの働き方にも関わってくる重要なシステムだと感じました。

  • 役割に応じて権限を管理することで、誤ってモデルを変更してしまったり、外部に情報が漏れたりしないようになっており、大変画期的なシステムだと感じました。また段階が進むごとにメールに通知が届くため、その都度確認することができ、とても便利だと感じました。

■指摘事項・マークアップ演習の感想

  • ここでは、モデルに分かりやすく指摘事項を書き込めることの便利さを体験することができ、オンラインでどのように書けば指摘が伝わりやすいかを考えるきっかけにもなりました。実務レベルのモデルを拝見できたことも大変勉強になりました。

  • モデル内に指摘事項が挿入でき、別の媒体を使わずに報告できる点において非常に効率的で良いと思いました。

■干渉チェック演習の感想

  • ミスが少なくなり、設計者が干渉部分の改善に力を入れることができるツールで、実務には欠かせないものだと思いました。配管と構造の関係性はあまり考えたことがなかったので、そこでの干渉チェックの重要性も学ぶことができました。

  • 干渉チェックは、2Dではなかなか気付きにくくても、BIMモデルなら比較的簡単に見つけることができるため、BIMを用いる大きな利点であると感じました。

■今回のBIM 360ワークショップで学んだこと

  • イギリスやシンガポールなどで政府などの組織がBIMを使ったプロセスへ移行するようにしているという記事は多く見てきたが、実際に一つの企業レベルで行っていることについて学ぶことができた。

  • 大学でのBIMは設計ツールとしてのBIMで習うことが多いので、実務でつかわれているBIMはまた別のベクトルが何個も必要だと思いました。そしてよりInformationを信頼のあるものにし、整備してこそBIMを使った運用がより価値のあるものになると学びました。

Webインターンシップの成果

 Webインターンシップは、当部門の新入社員と2年目の社員10人が企画・立案し、準備や講義なども行った。自分の在籍する大学の卒業生や年齢の近い社員と触れ合い、教育と実務の違いを理解することで、短い時間ではあったが、貴重な経験をしていただけたことと思う。参加者の多くが、現時点では当社の採用選考の受験を考えていることも大変うれしく思う。

 これまで、数回に渡って、大和ハウス工業の「啓蒙期」と「導入期」の社内人財を育てるための教育について述べてきた。これから当社は、次の「展開期」に移り、BIMによる大きな成果を発揮する時期に移行するだろう。「展開期」においては、設計・施工の技術者だけでなく、プログラミングやデータベースに長けた担当者も必要となるはずだ。そのため、これまで以上に大学などとの産学連携が求められる。

 今回のWebインターンシップを通して、彼らの無限の可能性から、私も想像しえなかった新しい建設業の在り方を創出してくれると確信を得ることができた。

著者Profile

伊藤 久晴/Hisaharu Ito

大和ハウス工業 技術統括本部 建設デジタル推進部(旧・BIM推進部) シニアマネージャー(2020年9月現在)。2006年にオートデスクのセミナーでRevitの紹介をし、2007年RUG(Revit User Group Japan)の初代会長となって以来、BIMに目覚める。2011年RUG会長を辞して、大和ハウス工業内でBIMの啓蒙・普及に努め、“全社BIM移行”を進めている。「BIMはツールではなく、プロセスであり、建設業界に革命を起こすもの」が持論。

近著に「Autodesk Revit公式トレーニングガイド」(2014/日経BP)。

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