BIMの社内教育について、大和ハウス工場の「BIM啓蒙期」と「BIM導入期」の取り組みを紹介した。今回は、番外編として、2020年に実施した“BIMインターンシップ”について説明する。BIMインターンシップは以前にも触れたが、今年は新型コロナウイルスの影響で、学生の皆さんに当社に来ていただくことができないため、中止も考えた。しかし、当社のBIMを学生に知ってもらう良い機会となるので、何とか実施したいとの思いで、Microsoft Teamsを使用したWebインターンシップとして開催した。Webインターンシップは、参加した学生の方々に好評だったので、その内容を紹介したい。
筆者が所属する建設デジタル推進部(旧・BIM推進部)が主催しているインターンシップは、2020年で4年目を迎える。2017年のBIMインターンシップを経て2019年に入社した社員は5人、2018年のBIMインターンシップを受講して2020年に入社した社員も5人。計10人の社員は今では、建設デジタル推進部の有望な戦力として、BIMによるプロセス改革やデジタルコンストラクションの先進的な活用に取り組んいる。
彼らが大学で学んできた内容とは必ずしも一致していない場合もあるが、BIMをやりたいという志を持って入社した社員のポテンシャルには期待するところが大きい。BIMやデジタルコンストラクションといったこれまでに無い業務を創るには、相当なバイタリティーが必要だが、彼らの若い力が頼もしく思える。
これまでの3年間のインターンシップは、当社に来ていただき、ファミリの作成やワークシェアリング・干渉チェックに現場見学などを加えたものであった。いずれも大学ではあまり教えられていない内容であり、実践に役立つカリキュラムを心掛けた。
それが2020年に至っては、コロナ禍で集まることができないため、とり止めるという選択肢もあったが、大学では通常学習できないAutodesk BIM 360を使った研修なら、興味を持ってもらえるのではないかと思い付き、Webを介して開催することとなった。
Webインターンシップは、参加者の負担も考えて、4時間の半日コースとし、2020年11月14日(土)の午前と午後で2回行った。
今回は、これまでBIMインターンシップで入社された実績のある4大学から、午前8人と午後7人の合計15人に参加していただいた。例年8〜9人の参加だったが、時間も短く、移動の必要がないことから、例年よりも参加人数は増える結果となった。また、建設デジタル推進部と一緒にBIMの仕事がしたいという学生たちだっただけに、BIMに対する知識や興味が高い学生に参加してもらうことができた。
BIMインターンシップで行った演習は、BIM 360をWebで実際に使ってみようという実技だが、BIM 360に触ったことのある学生はほとんどいなかったので、短時間にどこまでできるかが課題だった。
最初にISO19650におけるCDE(Common Data Environment:共通データ環境)として、BIM 360を活用していることを理解してもらった。当社では実際に設計の段階では、全物件でBIM 360を共通プラットフォームとしている。業務プロセスに合わせてどのような使い方をするのかを知ってもらう上で、ISO19650に基づくCDEの概念を正しく認識することは不可欠である。
今回の演習では、下記に示すように、設計段階でのBIM 360の活用として、権限設定・ワークシェアリング・レビュー・指摘事項・モデルコーディネーションなどの説明と実習を行った。
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