竹中工務店は、GRAPHISOFTのオンラインイベント「Building Together Japan 2020」で、「オープンBIMによるモデル構築と作業所における利活用」のテーマで講演を行った。登壇した生産本部 生産BIM推進グループ グループリーダーの山崎裕昭氏は、BIMの活用には正確性を追求するための“更新”が必須であり、そのためにはBIM対応の人材を確保・育成する必要があるとした。また、協力会社やサブコントラクターとともに、オープンBIMとして連携するには、IFCの理解が不可欠と説いた。
グラフィソフトジャパンは2020年10月1日、オンラインイベント「Building Together Japan 2020」を開催した。イベントは、同社の製品やソリューション、ユーザーによる事例などを幅広く紹介するもの。イベントでは、Archicadの新バージョン「Archicad 24 日本語版」のリリースに合わせ、新機能や操作方法などの解説も行われた。
今回は、当日のアジェンダのうち、「オープンBIMによるモデル構築と作業所における利活用」と題する竹中工務店の講演を採り上げる。
スピーカーの山崎裕昭氏は、竹中工務店 生産本部 生産BIM推進グループのリーダーとして、BIM活用の第一線に立つ。講演では、2003年から16年間もの長期にわたり、施工管理を担当してきた経験と現在のBIMマネジャーの立場から、BIM活用についての知見を「竹中工務店のオープンBIM」「作業所での事例」「BIMモデルを活用するために必要なこと」の3つの視点から解説した。
まず、竹中工務店のBIMについては、BIMに取り組み始めた当初から“オープンBIM”の考え方を中心に据えているとした。
設計には、意匠、構造、設備のレイヤーが存在する。竹中工務店では、各設計を担当するサブコントラクター各社に対して、使用ソフトを指定せずに、それぞれのソフトで出力する“IFCデータ”を共通で利用している。IFC形式の3DモデルをGRAFISOFTの自動検図システム「Solibri」上で重ね合わせ、干渉チェックを行う。これによって、鉄骨や外装、設備、施工モデルそれぞれのデータが最大限活用できる“オープンBIM”のフローを展開している。
この環境において、協力会社やサブコンのBIMモデルをどこまで活用できるかは、プロジェクトに参画する協力会社やサブコンの組織の在り方によって異なる。もちろん、現状では全ての作業所でモデルが共有できているわけではない。しかし、山崎氏は「BIMの浸透とともに、その普及率は上がってきている」と話す。
竹中工務店のように設計・施工をメインの業務とする企業では、社内で設計したBIMモデルを中心に建設プロセスを進行するのが普通と思われがちだ。しかし同社では、IFCをベースに関係者がシームレスにつながるオープンBIMのワークフローを重視している。山崎氏は、このワークフローを中心とすることで、BIMモデルが生み出す価値を最大化することが可能になると強調する。
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