さらに、パラメータ入力で、構造物の種類も変更できるという。一例として、副堤天端に流木止めを設置したくなったら、パラメータへの入力で即座に副堤を“流木止めタイプ”に切り替えられる。副堤のモデルに接続している側壁や水叩きなども、副堤天端の入力に追随して自動的にサイズなどが変化する。
同時にパラメータや施設形状の変更に伴って変わる掘削土量や埋戻土量も、即座に算出し、ビジュアルで表示される。仮に本堤の遊歩道を8メートルから12メートルへ拡幅し、経験式の影響で測定位置まで変わってしまっても、追随して土工の範囲と土量が出力されるため、予備設計の検討時に役立つ。
続いて河川計画でのCATIA活用についても触れた。河川計画事業では、河川で流せる流量を増やすため、川幅拡幅や河床掘削などを計画する。現地の測量結果を基に、河川の平面・縦断線形や横断面計画を行い、必要な構造物を設計している。
この一連の作業をパシフィックコンサルタンツでは、CATIAの「Civil Engineering」の標準機能と、UDF(ユーザー定義フィーチャー)の機能を用いて行った。具体的には、地形や平面線形の作成は、CATIAの標準機能を中心に使用し、縦断線形や横断計画など河川に固有な作業についてUDFを適用した。
同社の河川計画は、大別して3段階に分けられ、「準備作業段階」「初期計画作業段階」「計画案作成段階」と進んでいく。準備作業段階は、資料・データの収集整理だが、第2段階の初期計画作業でCATIAの利用が始まる。まず、CATIA上に地形図や測量データを取り込み、初期段階の平面・縦断線形、横断計画を作成。そして計画案作成段階で検討し、調整を加えながら具体的な計画案へと仕上げる。最終段階では、変更や修正が繰り返し発生するため、CATIAのパラメトリック機能が有効で、省力化と効率化に大きく貢献したとのこと。
実際の活用例では、最初に計画案の検討作業での変更修正で、河川の平面線形を変更した。この際は、河川の曲線区間で曲線半径を500メートルから350メートルへと縮小。さらに2つのIP点位置を移動させると、連動して計画の構造物も自動的に形状が変わる。
次に縦断計画変更の事例では、モデル上は計画構造物が現況構造物の河床の下に計画されていた。デモでは、構造物の河床を現況河床より上に配置すると、CATIA画面内の計画構造物が川から露出して色が変わり、計画全体の縦断が上昇したことが示された。
講演の最後にCATIA活用の展望として第一に挙げたのは、詳細設計に対応したモデルの開発である。その先にモデル活用で、より迅速な災害対応を実現することと、流域全体のモデル化から自動設計を目指すとしている。
一方、河床計画分野での今後の展開としては、浚渫(しゅんせつ)や掘削、埋め戻しなどの土工数量の算出を掲げる。また、護岸構造物や落差工、排水工、支川処理など詳細な構造物の部品化も視野に入れているとした。
──CATIAを核とするパシフィックコンサルタンツの生産性改革の取り組みは、土木構造物の自動設計という「夢」の実現へ着々と歩を進めている。
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