結論から言うと、日本の設備BIMが一向に進まないのは、設備自体がBIMに向かないと思い込み、多くの設備担当者が、設備BIMで何をなすべきかという理想を描くことさえできていないためだ。
「後追いBIMからの脱却」「BIMデータの連携」「維持管理DBとの連携」の3つを実現し、設備BIMが設計・施工での生産性を向上できるツールとして、活用できるように環境を整備しなくてはならない。今回、現時点で最も理想的な設備BIMソフトとしてRevit MEPを挙げたが、既成概念にとらわれず、これから進めるBIMのワークフローの中で、何が最適なのかを再度検討すべきであろう。
当社も参加した2019年度の「建築確認におけるBIM活用推進協議会」で、設備ソフトとしてRevit MEPを使っていなかったのは当社だけだった。協議会の中で、建設業界でも、BIMを活用する業務では、Revit MEPを使うことにメリットがあると感じ始めていることを実感した。なお、協議会では、確認申請の模擬審査まで行われたので、少なくとも確認申請図が作成できることは実証されている。
既に全社的な移行が進んでいる当社の意匠・構造の部門では、なぜ設備だけがRevitではないのかと首をかしげる者もいた。これまでにRevit MEPの業務標準・教育資料の作成を進め、ようやく2020年度上期から、実施物件での取り組みがスタートしている。
私自身は設備の設計や施工を経験したことがないので、この内容について意見のある方もおられるだろう。だが、このまま設備BIMが迷走を続け、先に進むことができないとBIM全体の成長は見込めないという危機感から、あえて問題提起をさせていただいた。これを機に、設備部門が迷いを断ち、設備BIMの後れをどう取り戻すのかという議論を、真剣に始めていただくことを望んでいる。
★連載バックナンバー:
『BIMで建設業界に革命を!〜10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ』
■第5回:日本のBIM先駆者が指摘する「日本の施工BIMは、ここに問題アリ!」(前編)
■第4回:日本のBIM先駆者が指摘する「日本の施工BIMは、ここに問題アリ!」(前編)
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