経済産業省がガイドラインを策定したビルシステムのサイバーセキュリティに関しては、「当社としても既に(セキュアな環境下での)ユーザーのアカウント管理などを行っているが、東京五輪を機に、とくに大手ビルでニーズが高まってきている。これに応えるべく、Metasysにサイバーセキュリティを管理するダッシュボードを用意して、ユーザーにセキュリティ状況を見える化できるようにもしていく」と説明した。
社内での取り組みに関して、業界で喫緊の課題となっている人手不足については、「業界では人材の需要と供給のギャップが高く、人材をどう確保するか、早急に取り組まねばならない。採用計画では、2020年は新卒50人と、中途60人をそれぞれ積極的に採用するつもりだ」と示した。また、外国人材の登用も視野に入れ、エンジニアを集中させたインドのセンターに、日本からアウトソーシングさせることや中国出身の開発者を雇用して、中国法人との連携なども視野に入れている。
しかしせっかく人材を確保しても、ベテランがいなくなり、経験の浅い若年層に施工技術をどう伝えていくかが問題になると指摘。そのため、中途も含めた人材開発のプログラムやネゴシエーションスキルも高める研修にも着手している。
社内における生産性の向上で吉田氏は、「オペレーション業務を標準化させ、付加価値の高い業務が行える環境をいかに創出するかに取り組んでいる」と説明。2019年後半からは、業務にRPAを導入し、社員が面倒だと思う作業を自動化して、その分生まれた時間を営業提案などユーザーと向き合う時間に充てているという。
BASの次の展開では、「ワールドワイドで130年、国内では50年の歴史ある会社でありながら、将来的な環境変化を見越し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を採り入れた提案をしていく」(吉田氏)。2019年9月に発売したビルシステムから収集したビッグデータを、設備の効率化や最適化に活用するクラウドプラットフォーム「Digital Vault(デジタルボルト)」は、2020年度には実導入までを見込む。
吉田氏は今後の展望について、「ビル設備市場でDXを推進することで、Society5.0時代のニーズに対応していく。そのためにも、ITベンダーや設備業界の周辺企業とのパートナー関係を築きつつ、DXのソリューションを世に提供していきたい」と抱負を述べた。
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