矢作建設工業とMalmeは、建設DXを推進する共同開発プロジェクトを開始した。営業や積算、施工などに分散しているデータや熟練者が属人的に持つノウハウを整理して蓄積するデータ基盤を構築し、抜本的な業務改善とAI活用につなげる。
矢作建設工業(以下、矢作建設)とMalmeは2026年8月5日、建設DXを推進する共同開発プロジェクトを開始したと発表した。
今回のプロジェクトは、2026年6月に締結した資本業務提携に基づく取り組みだ。Malmeのエンジニアが矢作建設の土木部門の業務現場に密着し、課題の抽出からシステムの開発、実装までを共同で進める。AI技術やデータ活用、システム開発のノウハウを駆使し、リードタイムの短縮や業務品質の改善、生産性の向上を目指す。
共同開発では、営業や積算、施工などに分散しているデータや熟練者が持つノウハウを整理して蓄積するためのデータ基盤を構築する。その基盤を土台に、現在は3つのテーマで開発を進めている。
1つ目は、矢作建設独自の「パンウォール工法」を対象とした情報プラットフォーム。営業情報や図面、積算データを一元管理し、各工程の作業量削減や情報共有、意思決定の迅速化を図る。パネル製造や施工段階までの管理対象の拡大を見据えるとともに、蓄積したデータを活用した類似案件検索や受注分析など、AI機能の追加も予定している。
2つ目は、パンウォール工事の積算業務を支援する生成AIシステム。工事ごとに異なる条件に対応した積算案をAIが複数提示することで、積算業務の効率化と意思決定時間の短縮に寄与する。熟練者の判断結果を継続的に学習へ反映し、システムの精度向上も進める。
3つ目としては、グループ会社のヤハギ緑化をモデルケースとした基幹業務システム。見積情報や受注情報、工事台帳データを一元管理し、入力作業を効率化し、決裁状況や原価率を容易に把握できるようにする。他部門やグループ会社への展開も視野に、汎用性の高いシステムとして整備を進める。
建設業界では人手不足が深刻化しており、安全や品質を維持しながら生産性を高めるため、DXの推進が重要な課題となっている。そのため、矢作建設は2026年5月に策定した中期経営計画(2026〜2030年度)で、DX戦略として「ICT基盤の構築・活用による付加価値創出と生産性向上」を掲げるとともに、「外部ベンダーとの連携による生産システムの刷新・定着」を重点施策と位置付けた。その一環で、Malmeと資本業務提携を交わし、共同開発プロジェクトを始動するに至った。
今後は、今回の共同開発で得られたノウハウを土木部門全体へ展開し、さらに他部門やグループ会社へ広げるとともに、人材交流を通じたDX人材育成にも取り組む。
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