コマツ子会社KELKの「電池/配線レス」振動センサー オンプレ解析で故障予兆を検知メンテナンス・レジリエンス2026(1/2 ページ)

KELKは、920MHz帯の無線通信に対応し、約500メートル先までデータを送信できる熱電EH振動センサーデバイス「KSGD-SV10」を販売している。設備の排熱を利用して自己発電するため、電池交換や電源配線が不要になり、オンプレミス解析ソフトウェア「KELGEN swift」と組み合わせると、設備点検の効率化や故障予兆の検知が実現する。

» 2026年09月17日 22時15分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 KELK(ケルク)は、「メンテナンス・レジリエンス2026」(会期:2026年7月15〜17日、東京ビッグサイト)の専門展示会「第52回 プラントメンテナンスショー」に出展した。

 KELKは、半導体製造装置向けの温度調節機器や熱電変換技術を用いたサーモモジュールなどを製造販売するコマツ(小松製作所)が100%出資する子会社だ。近年は、設備から放出される未利用熱を電力に変換する熱電発電製品「KELGEN」シリーズの開発に取り組んでいる。

KELKの展示ブース KELKの展示ブース 写真は全て筆者撮影

温度差3℃で自己発電、振動データを500メートル先まで送信

 展示の中心となったのは、設備の排熱を電力に変換して動作する振動センサーデバイス「KSGD-SV10」だ。

920MHz帯の無線通信で、約500メートルのデータ送信に対応する「KSGD-SV10」 920MHz帯の無線通信で、約500メートルのデータ送信に対応する「KSGD-SV10」

 工場やプラントでは、モーターやポンプ、ファンなど多数の回転機器を巡回し、振動や温度を確認する設備点検が欠かせない。一方、設備数が多いほど点検に要する人手や時間が増え、屋外や立ち入りにくい場所にある設備では、作業負担や安全確保が課題となっている。無線センサーによる遠隔監視も進んでいるが、電源配線や定期的な電池交換、通信距離の制約が導入の障壁になる場合がある。

 KSGD-SV10は、設備表面と周囲の空気との温度差を利用して自己発電し、振動や温度を測定する。エネルギーハーベスティング(EH:Energy Harvesting、環境発電)技術を用いたセンサーデバイスで、わずか3℃の温度差で動作するため、電池交換や電源配線を必要としない。

 発電部裏面の中央部を設備表面に接触させて熱を受けられれば動作し、設置面が完全に平坦ではない設備にも取り付けられる。既設設備へ後付けしやすく、センサーの設置や維持管理に伴う負担を抑えられる。

「KSGD-SV10」の電池レス/配線レス、500メートル通信、オンプレミス運用という特徴を紹介したパネル 「KSGD-SV10」の電池レス/配線レス、500メートル通信、オンプレミス運用という特徴を紹介したパネル

 KELKによると、KSGD-SV10は熱電発電を用いたセンサーデバイスとして世界で初めて920MHz帯の無線通信に対応した。通信距離は周辺環境によって変動するが、約500メートルで、見通し条件では1キロに達する。従来の2.4GHz帯製品の約50メートルから通信距離を10倍に伸ばし、障害物が多い工場やプラント、屋外の社会インフラといった長い通信距離が求められる環境での設備監視に対応する。

 担当者は「従来の2.4GHz帯製品では、広い工場内をカバーするために複数の受信機や中継器が必要になる場合があった。通信距離を約500メートルまで伸ばすことで、広い事業所や屋外設備でも、設備から離れた場所に測定データを届けやすくした」と説明した。

 測定項目は、設備温度の他、速度RMS、加速度のピーク値や実効値など。温度差が3℃の場合、40分に1回の頻度で測定する。防塵/防水性能はIP67で、屋外設備にも設置可能だ。センサー部の動作温度範囲は−20〜80℃。通信方式には、省電力広域無線通信「LPWA(Low Power Wide Area)」の一つ「LoRa」を採用し、AES暗号化によって通信データの保護にも配慮した。

 主な用途はモーターやポンプなどの故障予兆検知で、担当者によると、高速回転する主軸のベアリング異常を振動の変化から検知することも可能だ。

「KSGD-SV10」を取り付けたデモ機。取得した振動データを隣接するPC上に表示した 「KSGD-SV10」を取り付けたデモ機。取得した振動データを隣接するPC上に表示した
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